経営の健全性・効率性について
可児市水道事業は、水源すべてを県水の購入に頼っています。指標⑥給水原価は、有収水量1.あたり、どれだけの費用を要するか表すものです。H26の新会計基準に基づき長期前受金戻入を反映させたことと県水料金の値下げにより類似団体の平均に近くなりましたが、まだ「原価の高い水」となっています。この費用の50%以上を県水購入費が占め、減価償却費と合わせると費用の80%程度となっています。指標①経常収支比率、⑤料金回収率は、H26と同程度となっています。この傾向は先にも触れましたが、H26の新会計基準に基づき長期前受金戻入の収益化と県水料金の値下げによる費用の減少が要因となっています。指標④企業債残高対給水収益比率は、類似団体平均、全国平均を下回っています。これはH4以降の企業債の借入がないためです(H25に統合した簡易水道事業分、H22~24の3ケ年分を引継いでいます)。水道施設について、指標⑦施設利用率は、H27は58.17%で類似団体平均、全国平均を下回っています。将来の水需要を予測し、施設の耐震化事業等で適切な施設規模を図っていきます。また、指標⑧有収率は、100%に近いほど水道施設から給水される水量に漏水がなく、使用者に届いているかが分かり、93%前後の数値で推移しています。水源を県水の購入に頼るため、漏水を減らすよう昭和40年代に使用された塩化ビニル管が残存する桜ケ丘地区(メーター数約1,500個)の布設替事業(H27~35)に着手しました。
老朽化の状況について
可児市水道事業は、昭和37年に供用開始し、平成24年には50年を経過しました。有形固定資産には、建物、配水池、ポンプ場、送配給水設備(管路)、機械・装置など様々なものがあり、法定耐用年数にも違いがあります。有形固定資産の老朽化度合いを示す①有形固定資産減価償却率は、H27では44.18%で類似団体平均、全国平均を下回っていますが、右肩上がりで老朽化が進行しています。管路に着目した指標②管路経年化率は、管路の老朽化度合いを、③管路更新率は、当該年度に更新した管路延長の割合を示します。②では昭和50年代に開発した住宅団地内の管路が順次、法定耐用年数の40年を経過する状況にあります。③ではH27の更新率は0.63%で類似団体平均、全国平均を下回っています。H27から桜ケ丘地区の布設替事業を開始し、H31以降は重点的に基幹管路(送水管・配水本管)の耐震化に伴う管路更新を進めていく予定です。
全体総括
可児市水道事業の投資計画は「水道施設耐震化計画及びアセットマネジメント」(H24策定)に基づき、H31までに配水場やポンプ場の耐震性能を向上する工事を行います。H27から着手した事業は、新虹ケ丘配水池を新設することで耐震性の劣る鳩吹台配水池と隣接する虹ケ丘配水池の2つの配水池を廃止する事業です。施設の耐震化事業後に、基幹管路を耐震性能や経過年数を加味し、重要度の高いものから耐震管への布設替工事を行う予定です。併せて、将来の水需要を予測して管路口径の見直し等、水道施設のダウンサイジングも検討していきます。水道事業中長期収支計画(H25策定、計画期間10年)では、投資計画を支える財源計画は料金収入と繰入金、及び内部留保資金の活用で均衡が図れる見込みです。今後も経費削減を図るとともに、水道水の安定的な供給のため施設の更新に取り組んでいきます。