経営の健全性・効率性について
当市の公共下水道事業は、平成26年度より地方公営企業法適用事業となった。経常収支比率はやや低下しているが、一般会計繰入金が減少したことに加え、有収水量の減少も影響している。流動比率は類似団体に比べ低値となっているが、事業を継続していく中で改善していく見込みである。企業債残高対事業規模比率は高値となっているが、経費回収率は類似団体に比べ高値であるため、企業債残高が多くなっていることによると思われる。これは、処理区の人口密度が低く管渠延長が長くなり、工事費に伴う企業債が膨らんだこと、また、主な工事が平成23年度まで行われていたことから、企業債残高が減ってきていないことが要因である。経費回収率、汚水処理原価については、職員数の減少、構成職員の平均年齢低下などで給与費が低下したことなども要因と考えられる。水洗化率の低さは当事業最大の問題である。これにより、施設利用率も低値となっている。一般的に供用開始から時間が経つほど水洗化率は上がるとされているが、上述のとおり下水道事業の中では歴史が浅い方でもあり、訪問相談員による戸別訪問相談を実施する等の接続促進策を進めているが、高齢化率が県下19市でも高位に位置する当市では、特に高齢世帯への説明に対して理解をしていただくことが困難な状況である。
老朽化の状況について
管渠は、早いものでも耐用年数がまだ30年弱あるが、処理場については施設の長寿命化計画を策定し、計画的に更新工事を進めている。マンホールポンプ等の更新については、今後更新計画を策定し、順次更新していく予定としている。
全体総括
平成26年度より法適用事業とし、4年目の決算数値であり、様々な指標トレンドが比較検討できる素地が整ってきた段階。下水道事業は、公共インフラとしての位置付けの大きさにより、一般会計からの繰入金が歳入に占める割合が大きい。様々な施設の更新や企業債償還のピークに向け、内部留保資金や利益剰余金を増加していけるよう、水洗化率の上昇、費用の効率化を図り、収支計画に基づいた健全経営を行っていく必要がある。来るべき人口減少を見据え、施設の縮小や統廃合、広域化・共同化も検討していく必要もあると考えられる状況である。