地域において担っている役割
大月市立中央病院の役割は、山梨県の富士・東部医療圏において二次救急医療機関として一般の医療施設では困難な救急・急性期医療を提供していくことに加え、医療資源が不足する地域への診療の提供を効果的に行うことで、市民の健康を守りながら地域医療の向上に努めている。団塊の世代が全て後期高齢者となる2025年には、大月市の65歳以上人口も39.2%まで上昇すると予測される中、将来にわたり地域医療の確保・継続が可能な体制を構築することを基本として、山梨県が示す地域医療構想や地域医療構想調整会議での合意事項との整合性を図ると共に、医師や看護師等の確保を一層進めながら、市民に質の高い適切な医療を安定的に提供していくために取り組んでいる。
経営の健全性・効率性について
●医業収支比率・病床利用率・職員給与費対医業収益比率医業収支比率・病床利用率は、類似病院平均値を下回っている。医師の確保が厳しい状況の中で地域の状況にあった病院規模・病床数とし現有の医療資源を最大に発揮できるよう見直しが課題である。また、職員給与費対医業収益比率は、類似病院の平均を上回っており、病院規模・病床数に合わせた職員配置と専門性のある職員の雇用を推進し、人件費の抑制に努めることが必要である。●材料費対医業収益比率類似病院の平均を下回っている入院患者1人1日あたり収益が横ばいである中で、材料費対医業収益比率が上昇傾向となっている。医薬品の薬価や、医療材料の償還価格の適正な算定に努めるとともに、調達に係る費用削減のための検証・見直しが必要である。
老朽化の状況について
H26年3月に新病棟が竣工し、H27年3月には既存施設の耐震化及び改修工事が終了し環境整備が整ったことから、建物については現時点では修繕箇所は少なく概ね健全な状態と考える。ただし、今後も定期点検を着実に実施し老朽化の状況を把握するとともに必要な修繕や更新を行っていく。機械備品については、保有資産のうち、機械備品がどのくらい法定耐用年数に近づいているかを把握・分析し、中期的な観点から更新計画を立て、更新の際には過大な投資とならないよう機種選定をすすめていく。
全体総括
公立病院を取り巻く環境は、全国規模で持続可能な経営を確保することが難しい状況であり、更なる人口減少や少子高齢化による医療需要の変化に対応することが求められている。当院の病床利用率の低迷の要因は慢性的な常勤医師の不足のため入院患者が減少したことが大きく影響している。また今後医療需要が減少していく中で病院を維持し続けることは、今後ますます厳しくなっていく。経営の健全化は、病院職員が自らが取り組まなければならない課題であるが、ここ数年は市からの多額の赤字補てんに頼らざるを得ない状況が続いている。最重要課題である常勤医師の確保を着実に実現し、改革プランの目標数値に近づけるためには、経営形態の見直しが課題となってきている。