地域において担っている役割
本院は、原子力災害拠点病院及び地域災害拠点病院として指定を受け、相双医療圏の中核病院として二次救急医療を担っている。また、地域内の既存医療機関で受入ができない透析患者への対応のため、平成30年3月から新たに透析医療の提供を開始している。
経営の健全性・効率性について
平成23年度の震災以降、稼働病床数を150床に制限してきたことにより病床利用率が60%未満の状態が続いていたが、段階的に稼働病床数を増やし、平成29年2月には震災前の230床に戻したことにより、病床利用率は69.8%まで回復してきている。脳卒中センター建設に伴い、全病床230床を看護配置10:1にて運営すべく、看護職員を大量に採用したため収支が悪化したが、今後は病床の稼働率を上げていくことで、収支均衡が図られる見込みである。
老朽化の状況について
当院の本館は、平成4年建築から25年経過し老朽化が進んでおり、設計等も古く、導線等、使い勝手が悪いことなどもあり、近年中に大規模改修工事を行う予定である。平成28年度に建設した脳卒中センターには、脳神経外科、救急科、整形外科、リハビリテーション科等が入っており、CT、MRI、アンギオ等を整備したことにより、平成28年度から1床あたり有形固定資産が大幅に増加している。さらに、平成29年度においても、院内保育所の建設や透析室の整備等を行ったことにより、1床当たりの有形固定資産がさらに増加している。
全体総括
脳卒中センター建設に伴い、人員と設備に投資を行ってきており、特に初期研修医と看護師については将来確実に不足すると考えられる地域医療資源で、積極的な採用活動と定着に向けた福利厚生の充実に力を入れ、結果として人員採用計画は満たすことができた。また、減価償却費の増加は脳卒中センター建設費及びそれに伴う医療機器購入によるものである。医療は人員整備と設備整備をしてからでないと患者を受け入れる許可が得られないため、投資としてこれらの費用が先行することはやむを得ないと考えるが、今後は先行投資された資源を有効に活用し市民に還元する活動に注力する。ただし本院の老朽化対策も行っていかなければならないという課題がある。