地域において担っている役割
当院は、津軽地域医療圏の中核的な病院として、市民の健康を守る責務を担い、医療を提供している。また、内科、小児科、外科の二次救急輪番病院として、地域の救急医療に取り組んでいる。
経営の健全性・効率性について
健全性について、平成27年度までは医業収支、経常収支ともに平均値に近い値であり、比較的安定していたと言える。累積欠損に関しても、会計制度改正に伴う特別損失の計上額が大きかった平成26年度を除けば、概ね減少傾向にあった。しかし、平成28年度から患者数の減少に伴い収益が減少し、平成29年度においても、外科常勤医の減、内科二次救急輪番の実施回数の減などにより、患者数の減少傾向に歯止めがかからず、経営状況はさらに厳しいものとなっている。効率性について、当院は材料費比率が平均より高い傾向にある。材料費比率については、平成26年度以降減少傾向にあるものの、医薬品の高騰により、収益の減少幅に比して減少幅が小さい。投薬による収益は診療単価に反映されているものの、可能な限り効率的な使用を目指したい。
老朽化の状況について
施設全体、機械備品ともに減価償却率が平均より高く、実質的な資産価値の減少幅が大きいことを意味している。1床当たり有形固定資産額についても、平均値を大きく下回り、適切な投資がなされていないことを示している。当院は昭和46年の建設から45年以上経過しており、早急な建替が必要である。
全体総括
平成29年度は、外科常勤医の減、内科二次救急輪番の実施回数の減などにより、平成28年度以降の患者数の減少傾向に対し有効な対策を打ち出すことができず、経営状況は一層厳しいものとなっている。当院としては、平成28年10月に県が公表した、当院と国立病院機構弘前病院の統合による中核病院整備に関する協議の動向を注視しつつも、健全な経営のために、材料費等の適正使用、地域包括ケア病棟の効率的な運営、他の医療機関、福祉施設等との連携による収入確保に努めたい。(注)平成30年10月4日、国立病院機構・弘前市・青森県・弘前大学の4者により「新中核病院の整備及び運営に係る基本協定」が締結された。当院は、新中核病院が開設されるまでの間、関係機関の協力を得ながら、診療体制を維持し、運営を継続するものである。