地域において担っている役割
北空知二次医療圏の中核病院として高度医療機能と圏域で一般病床を有している唯一の病院として急性期医療を担っている。また、地域住民にとって必要な救急医療、災害医療、感染症医療、へき地医療など、採算性が低いため他の医療機関では提供できない医療機能を担っている。
経営の健全性・効率性について
平成29年度決算では常勤医師の増員及び入院患者数確保等の効果により収益が増収となり、収支比率も良くなった。病床利用率は依然として平均よりも高く、入院患者数を確保しているが、1人1日当たり収益が類似病院より約1万円ほど低く、外来についても同様であるため、医業収益が十分ではない状況にある。患者の病状に合わせた医療を提供し、診療単価を上げていくことが必要であり、引き続き経営改善にかかる取り組みを進めていく。職員給与費や材料費の割合については、類似病院平均と比べ低い状況にあることから、経費削減効果が現れていると思われるため、収益改善と合わせて取り組んでいく。医業収益の改善が図られれば、累積欠損金も解消していくことが可能になるため、引き続き経営改善を進めていく。
老朽化の状況について
病院施設は平成17年に移転・改築したが、改築後14年が経過しており、施設及び医療機器の老朽化が徐々に現れてきている。医療機械備品については、機械備品減価償却率が高くなっていることからも更新が必要であることを示しているが、高額な機器も多いため、使用可能な限りは使用している状況である。しかし、機器の状態にもよるが適時更新していく必要があり、計画的に進めているところである。有形固定資産が類似病院よりも高いのは、当初の病床数が305床であり、それに見合った建物で建設されているためである。そのため現在の203床で比較すると、過剰となっているものである。施設設備についてもボイラーや配管など改修が必要な時期にきており、医療機器の更新と合わせて計画的に進めていくこととしている。
全体総括
地域医療を担う立場にあることから不採算部門を抱えているため、医療収益が低い病院ではあるが、診療内容の改善により入院収益については増収が十分可能であると思われる。そのため、医療の質の向上による収益改善を図るとともに診療材料などの適切な使用など経費節減についても継続して実施していくことが重要である。平成28年度に策定した新公立病院改革プランの実行とともに経営体質の強化、改善に努めていく。また、移転・改築後14年が経過し施設や医療機器の老朽化が現れ、改修や更新等が必要な時期になってきているため、前述の経営強化に加え、企業債や補助金、市からの繰出金など必要な財源を確保できるように努める必要がある。