地域において担っている役割
二次救急をはじめとする急性期医療から回復期及び慢性期に至るまでの医療及び患者の疾病や状態に即したシームレスな診療を提供している。また、今後の高齢化の進展に柔軟に対応できるよう、在宅医療に積極的に取り組んでいる。外来診療機能においては、近隣の診療所が提供していない診療科を補完することで、様々な疾病の早期発見と治療を行っている。当院の診療機能では診療することのできない疾患や状態の患者については、高次機能医療機関と円滑な連携体制を構築することで対応している。
経営の健全性・効率性について
当院では29年度末に複数名の内科医師が退職し、多数の外来患者及び入院患者を他医療機関へ紹介することとなった。そのため、健全性については経常収支比率、医業収支比率ともに他病院の平均を上回っているものの、28年度の数値を下回っている。効率性についても同様の理由で入院患者延数が減少したため、病床利用率は平均を下回っている。また、当院はケアミックス型の病院で、包括で算定する病床が55%を占めるため、入院の一日当たりの収益は平均値を著しく下回っている状況である。しかしながら、全体の平均でも3万円を下回ることは、出来高算定の病床の1日単価が低いことを意味するため、手術を要する外科系の充実が必要であると考える。
老朽化の状況について
減価償却率が急激に上昇しているのは、H25年の独法化時に再評価した資産額を残りの耐用年数で償却しているためである。なお、病院の診療機能の大半が40年経過している建物に集中しており、現有の建物に対する過度な投資もおこなっていないため、1床あたりの有形固定資産も著しく平均値を下回っており、新耐震基準も満たしていないことから、1棟を残し建て替えを予定している。
全体総括
平成29年度は、概ね健全経営を行えていると考えられるが、持続可能な経営のためには内科医師の確保が急務である。また、医師の確保が前提とはなるが、新規患者確保のため救急医療体制を充実させるとともに、急性期の患者及び外科系の患者を確保することで収支の増加に努める必要がある。加えて、回復期病床患者の自院発生率の増加にも積極的に取り組む必要がある。