経営の健全性・効率性について
収益的収支比率の当該指標は、100を超えているが、給水収益以外の収入に依存している。料金回収率に関しても当該指標が70前後を推移しており、給水に係る費用も給水収益以外の収入で賄っていることが数値からもわかる。また給水収益以外の収入でも繰出基準に定める事由以外の繰出金によって収入不足を補填しているのが現状であり、経営基盤は脆弱である。今後の人口減少を考慮すると、給水収益が減少していくことは必須であり、更なる経費の削減、財源確保が必要である。また、料金回収率からもわかるように給水収益以外の収入で賄っている現状から適正な料金の設定となるよう見直しを行い、適正な料金収入の確保にも努めなければならない。
老朽化の状況について
管路更新率は、1%未満であるため数値から見ても管路更新は進んでいない。また、更新のためには財源確保が必要であり、管路の更新が大幅に進むことはないと考える。今後はさらに人口減少が進み、給水収益が減少していくなか、財源の確保も現状以上に厳しくなる。ただし、管路は年々老朽化していくため、計画的な老朽化対策(施設更新)は早急な課題ではあるが、進んでいない。また、各施設・各管路の法定耐用年数等の把握も重要であり、固定資産台帳等の整備が急務であると考えるが、かなりの時間と費用を要するため、着手するには至っていない。
全体総括
今後の人口減少による、給水収益の減少を考慮すると、さらなる経費の削減や適正な料金への見直し等を行い、財源確保に努めるとともに、経営統合・施設統合も視野に入れた経営基盤の強化を進めて行く必要がある。また老朽化した施設に関しては、耐用年数等を把握した上で、整備計画等の策定も視野に入れ、順次施設の更新・管路の更新を計画的に実施していく必要がある。公営企業法を適用し、公営企業会計を導入することは、事業の経営成績(損益情報)や財政状態を基礎とした経営状況を的確に把握するとともに、他団体との比較等が行え、経営改善や経営判断が可能となる。また適正な料金の算定にも役立てることができると考えるが、適用することでのデメリットや地域性及び実情も考慮し、現状では公営企業法の適用及び料金改定は慎重に行うべきと判断する。