地域において担っている役割
2つの公立病院が統合して開院した小豆医療圏唯一の公立病院であり、離島かつ一定の人口規模を有することから、民間病院で提供されていない産科、小児科医療の他、人工透析、救急医療といった政策的医療を担うほか、万が一の災害時には医療の拠点として機能する役割がある。※平成28年度に開院した。
経営の健全性・効率性について
開院初年度と比較し、医業収支は改善はしたが、依然として全国平均を下回っており厳しい経営状況となっている。経常収支は前年度より悪化しているが、これは初年度において当初運転資金として基準外繰入金が多額であったためである。収益面において、外科医師の減少等により病床稼働率がプランどおりに伸びなかったことが、収支悪化の最大の原因となっている。患者単価は入院外来ともに全国平均より低いが、新たな診療報酬加算の追加等により、統合前の旧病院の平均値であった前年度を上回っているため、妥当な数値であると言える。費用面においては、職員給与費対医業収益比率の数字が前年度より低下しているが、これは、医師や看護師数の減による給与費の減と分母側の医業収益の増加によるものである。材料費対医業収益比率は全国平均よりも低く比較的効率的な運用ができていると言える。前年度より増加しているのは高額医薬品を院内処方に切り替えたことなどによる。
老朽化の状況について
開院2年目の病院であるため、前年度より償却率は伸びているが、全国平均に比べて大幅に低く、老朽化は見られない。医療器械については統合前の病院から持ち込んだものもあり、耐用年数を経過しているものも多いため、それらについては数年の間に買い替えが必要であり計画的な更新を行う必要がある。持込機器については、減価償却後の価格を帳簿価格としているため1床あたりの有形固定資産額が平均より抑えられている。
全体総括
開院2年目となり、初年度と比較して医業収益の改善は見られたものの、改革プランで計画したほどの改善はできなかったため、経営の健全性・効率性の指標の大部分が類似病院平均より悪くでている。次年度は病院経営に係る財政状況は今以上に厳しくなることが予想されるが、島民の安心安全を守るため、地域の中核病院として一定水準の医療を継続的に提供できる体制を整える必要がある。次年度においてコンサル等を活用した経営分析を行い、開院初年度に基礎数値が未確定な状態で策定された新公立病院改革プランを、現状に即したものに改定し経営の健全化に取り組む必要がある。