地域において担っている役割
雲南二次医療圏において1次・2次救急医療を担いながら、入院では急性期・回復期・慢性期の病床を備えたケアミックス病院として、地域住民へ安心安全な医療が提供できるよう充実を図っている。また、訪問看護や訪問診療などの在宅医療や、附属診療所の運営、無医地区への巡回診療も手掛け、地域包括ケアの中心的役割を担っている。平成30年3月竣工の新本館棟は、市内唯一の免震構造であることや、圏域唯一の感染症病床を有しており、有事の際には災害拠点病院、感染症指定医療機関としての機能を発揮し、安定した医療提供を担う役割を果たしている。特に令和2年度は、県の要請により新型コロナウイルス感染症患者の受入病床の確保や感染外来棟を活用した検査体制を確保するなど、その対応に注力した。
経営の健全性・効率性について
経常収益は、新型コロナウイルス感染症関係の補助金により、前年度比で215百万円の増収となった。経常費用は、材料費、研究研修費の減などにより70百万円の減額となり、経常損益は前年度比で285百万円改善した。医業収支比率は、患者数の減による入院・外来収益の減収によりやや低下した。入院・外来ともに1人1日当たりの収益は類似病院の平均値を下回っているが、病床利用率は大きく上回っている。また、職員給与費対医業収益比率は類似病院の平均値を上回っているが、一方で材料費対医業収益比率については下回っている。引き続き費用の削減に努めていく。内部留保資金は、令和2年度は357百万円蓄積し、繰越内部留保資金は1,891百万円となり、健全な経営基盤の持続を図っている。
老朽化の状況について
平成30年3月に新本館棟が竣工、令和元年度には駐車場整備や外構工事を行い、令和元年10月1日にグランドオープンし、平成24年度から続いた病院建設事業は完了した。このことにより、老朽化の度合いを示す有形固定資産減価償却率、器械備品減価償却率ともに類似病院の平均値を大きく下回っているが、1床当たりの有形固定資産額については、平均値を下回ってはいるものの上昇傾向にある。今後は、平成2年竣工の管理棟、平成8年竣工の中央棟や、老朽化した医師・看護師宿舎の整備をどのように行っていくかが当面の課題となる。
全体総括
平成24年度から5年連続で経常損益は黒字を達成していたが、平成29年度の新本館棟竣工による費用の増等により、経常損益は赤字に転じた。今後も減価償却費の負担増などから経常損益の黒字化は厳しいものと考える。そのため、平成30年度より剰余金計上から欠損金計上に転じ、今後も累積欠損金は増えていく傾向にあるが、今後はキャッシュフローを重視した経営に取組み、内部留保資金の維持に努めていく。重視している内部留保資金は、経常損益は赤字の状況ではあるが毎期蓄積を図り、相応な企業体力は有していると考えている。企業債償還金の負担増による資金繰りの悪化が今後懸念されるが、それに耐え得る経営基盤の確立は行っている。