経営の健全性・効率性について
・経営の健全化収益的収支比率は年々上昇傾向であるが、平成26年度で65.44%にとどまっている。企業債残高は、簡易水道統合事業などの実施により平成25年度から増加しており、比率も上昇傾向となっている。平成26年度料金回収率は32.28%と類似団体の平均を大きく下回っている。給水収益は、平成16年度の市町村合併により安く抑えられ、その反動として一般会計繰入金を増額して収支の均衡を保っている。事業の実施に際しても、補助金の補助率は低いため、起債に頼らざるを得ない状況となっている。以上のことから、経営の健全性は良好とは言えない状況である。健全性を向上させるさせるには、料金改定の検討を行う必要がある。・効率性給水原価は500円を超えており、類似団体との平均を大きく超えている。施設利用率は52.03%と、ほぼ類似団体と同程度である。有収率は89.24%と非常に高い数値であり、類似団体の数値を超える状況である。施設利用率及び有収率から、施設の稼働が確実に収益に繋がっている。しかし、施設の維持管理費やこれまでの投資(企業債の投入)により1㎥あたりの費用が高く、施設管理費等を削減していかなければならない。
老朽化の状況について
老朽管更新率は、平成25年度から4.11%、平成26年度は3.06%と、この2年は類似団体も大きく超え、高い数値となっている。近年は、老朽管の耐用年数も限界を迎えている状況や簡易水道統合も見据えて、老朽管更新に投資をしている。
全体総括
当市の簡易水道事業エリアは、中山間地特有の地理的条件の悪い地域に、公衆衛生の向上と福祉を目的に普及を図ってきたため、経営基盤は脆弱である。また、当市の簡易水道事業は、平成16年度の市町村合併により、17事業を運営することとなったが、料金は安価な上水道地域の料金に統一されたため、結果的に値下げとなった。その穴埋めとして、一般会計繰入金を増額して収支均衡を保っている状況のため、一般会計繰入金や国の補助金などの財政支援がなければ経営は成り立たない。今後の、簡易水道事業と上水道事業の統合並びに公営企業会計の適用に向け、水道料金改定の検討を行う必要がある。