地域において担っている役割
当院は、急性期医療を中心に基幹医療を提供し、地域の中核病院として地域全体の医療・福祉の向上に寄与している。救急医療・小児医療に加え、平成22年には、地域周産期母子医療センターをオープンし、地域住民が安心して分娩と子育てができる環境の整備を行い、市民の健康を守る総合病院として地域医療を行っている。
経営の健全性・効率性について
病床利用率については、平成28年度以降は類似病院平均値を下回っているものの、整形外科常勤医師1名の採用(平成29年4月)で手術件数が増加したことなどから、前年に比べて2.3%の回復となった。医業収支比率については、医業収益が前年度より増加したことで、類似病院平均値に比べて3.4%高くなっている。また、累積欠損金比率については、比率計算上分母にあたる医業収益は増加したものの、収支均衡には至らず、純損失が発生しているため、累積欠損金についても拡大しており、結果前年度より比率が高くなっている。職員給与費対医業収益比率及び材料費対医業収益比率は類似病院平均値に近く、また、入院患者1人1日当たり収益(入院単価)は類似病院平均値を上回っているものの、診療報酬改定の影響等から前年度に比べると低くなっている。外来患者1人1日当たり収益(外来単価)は、単価の低い慢性疾患患者の受け入れも多いこと等の要因により類似病院平均値を下回っている。
老朽化の状況について
現在の建物は平成10年に建替えを行い、地域周産期母子医療センターについては平成22年に整備したものであるが、施設全体の老朽の度合いを示す有形固定資産減価償却率が年々上昇しており、平成28年以降、類似病院平均値を上回る結果となっている。器械備品減価償却率についても、類似病院平均値を上回っているため、施設・器械備品の計画的な更新が必要と考えられるが、現在は、経営状況を鑑み、診療の継続に係る機器など優先順位を設けて更新を行っているところである。また、NICU6床、GCU9床を設置しているため、1床あたりの有形固定資産額が類似病院平均値を上回っている。
全体総括
本院では、平成28年11月に国が示したガイドラインに沿って新公立病院改革プランを策定し、現在、病床利用率の向上、医業収益の確保に向けた経営改善の取組を進めているところである。平成29年度については、入院単価は前年度に比べて下がっているものの、ベッドコントロールセンターの設置(30年1月)、一部病棟の地域包括ケア病棟への変更(同3月)など、入院単価上昇に向けての方策を講じた。また、人材確保の強化に努めた結果、平成30年度の診療枠拡大に向けて整形外科常勤医師2名を確保する等の成果を上げることができた。今後も、引き続き医師確保による診療体制の充実化、近隣病院・診療所との連携の強化による救急診療及び紹介患者の積極的な受け入れなど、経営改善に向けての取組を進めていく。