地域において担っている役割
当院は、常滑市唯一の入院施設を持つ病院として、急性期患者に対応するため、急性期医療の提供を続けている。今後増加が予想される回復期患者にも充分対応していくため、令和2年10月急性期1病棟を回復期病棟へ転換するなど、急性期医療を主体としつつも回復期医療などにも取り組むケアミックス型病院としての役割を果たしている。また、国内4番目となる特定感染症指定医療機関の指定を受け、未知の感染症の蔓延を水際で防ぐ役割を担っており、新型コロナウイルス感染症対応についても、重点医療機関として医療圏域内の中核的な役割を担っている。さらに、平成29年度から病院事業として訪問看護ステーションを運営しており、病院から在宅へスムーズに移行できるよう、地域包括ケアシステムの中核としての役割を果たしている。
経営の健全性・効率性について
①経常収支比率について、医師の休職、退職等に伴い、入院収益は減少したが、新型コロナウイルス感染症に係る国・県補助金や一般会計からの基準外繰入により前年度より上昇した。③累積欠損金比率については、旧病院解体関係費に係る特別損失が発生していることにより他の類似病院平均値より高くなっている。④病床利用率について、病床調整会議による病床コントロールを行っていることから、類似病院平均値より高い傾向にあるが、R2は新型コロナの影響により類似病院平均値と同等の利用率となっている。また、入院会計を平成31年4月から直営に切替えたことにより、診療報酬改定の対応及び診療報酬請求の精度が上がったこと、DPCの導入(平成30年度から)及び病診連携の推進により、⑤入院患者1人1日当たり収益及び⑥外来患者1人1日当たり収益は増加した。⑦職員給与費対医業収益比率について新型コロナウイルス感染症に対応するための手当の新設等により増加した。⑧材料費対医業収益比率は、積極的な値引き交渉により、類似病院平均値と比較し低い傾向にある。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率について、新病院建設(平成26年度)により、類似病院平均値よりも低い結果となっている。②器械備品減価償却率については、新病院建設から6年を経過し、当時購入した医療機器が対応年数を迎えているため上昇してきた。また、③1床当たり有形固定資産については、平成28年度決算で新病院移転時に不用となった有形固定資産を除却したため、類似病院平均値より低いレベルになっており、令和2年度は新型コロナ対応のための医療機器整備に伴い増加した。
全体総括
医師不足による医業収益の減少に対応するため、1病棟を急性期から回復期に転換したところだが、新型コロナ患者の受入に係る病床確保のため、医業収益は大幅に減少した。一方、新型コロナウイルス感染症関係補助金の受入により、令和2年度における経常収支比率は100%を超えた。今後は、アフターコロナを見据えた医業収益の増加に向けて、平成28年度に策定済みの新公立病院改革プランに掲げた取組を継承し、病床稼働率の向上を努めながら、医療圏域内における感染症対応の中核的役割を引き続き担っていくための機能維持に努め、経営強化を図る。また、令和7年度を目標として進めている半田病院との経営統合に向けて、両病院の機能分担及び連携協議を進めていく。