地域において担っている役割
当院の主エリアである旧庵原3町及び旧芝川町の地域において、入院施設のある病院は当院のみです。透析のできる施設もなく地域住民にとって存在意義は大きく、患者満足度調査からも当院に対する期待が窺えます。また、救急医療は24時間365日体制で実施しています。医師不足の状況が続いているため、非常勤医師を活用しながら1次救急から2次救急まで、可能な限り救急患者の受け入れを実施しており、救急医療を維持することは、この地域に対しての責務と言えます。さらに、災害医療の面においても静岡市、富士市、富士宮市から救護病院の指定を受けており、地理的特性から大規模地震時には病院の孤立化が懸念される当エリアにおいて、当院の果たすべき役割は大きいと認識しています。
経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、構成市からの損失補填補助金収入により、高い比率になっています。本業である医業収支比率は、類似病院と比較しても低い値になっており、医業費用を医業収益で賄えておりません。当院は、ケアミックス病院であることから1人1日あたり入院収益および外来収益は、類似病院の平均値を下回る一方、職員給与費対医業収益比率は類似病院の平均値を大幅に上回っており、収支双方の経営改善が必要と考える。職員の高年齢化や、医療提供体制を確保するための非常勤医師の賃金などが給与費を押し上げている要因と考えます。このため、経営の健全化に向けて常勤医師化を進めて入院・外来の患者数や単価の増を図るとともに、引き続き費用の削減に努めていきます。
老朽化の状況について
当院は、新築移転から35年が経過し、建物・設備等全体的に老朽化が進行している。特に、空調設備と電気設備の老朽化が著しく、その対策が急務となってきている。・予算上の制約もあり、計画的な設備更新を行うよう努めている。器械備品についても法定耐用年数を超えて使用しているものが多数あるが、過大な設備投資とならないよう計画的な更新に努めている
全体総括
当院は、富士医療圏及び静岡医療圏の境界に位置し、両圏域の患者を受入れています。特に外来患者の約75%、入院患者の約60%は、旧庵原3町と旧芝川町の住民で占められており、この地域には競合する公立・公的病院、民間病院はありません。このため、民間病院との統合や再編は困難と考えます。また、当院はケアミックス型病院であり、近接する両市の市立病院とは病床機能において、急性期、回復期で重複するものの適切な配分になっており、慢性期は、当院だけが持つ病床機能です。今後も圏域の地域病院として、基幹病院と連携しながら経営改善に努めていく。