経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は、類似団体平均値を僅かに上回るに留まり再び減少へと転じた。これは、前年比で総費用が減少したことに伴い一般会計繰入金収入が減少した一方で地方債償還金が増加したことが主な原因と考えられる。⑤料金回収率は、前年比で微増となったが、類似団体平均値を下回って推移。これは、給水に係る費用のうち給水収益以外の収入(繰出基準外の繰出金)による、収入不足の補填割合が大きいことを示している。今後の適切な料金収入の確保が求められる。④企業債残高対給水収益比率は前年比で微増、⑥給水原価は微減となったが、いずれも類似団体平均値を大きく上回っている。これは、建設改良事業の増に伴う地方債残高の増が主な原因である。投資の効率化や維持管理費の削減といった経営改善の検討が必要。⑦施設利用率は、前年比で微減となったが類似団体返金は上回っている。将来の給水人口の減少等を踏まえた上で施設の適正規模についての検討が必要と考える。⑧有収率は、前年比で3.88ポイント増。これは、更新や修繕等による施設の改善の効果が配水効率の向上として表れたものと考える。今後も良好な施設の稼働を目指した維持管理が必要と考える。
老朽化の状況について
③管路更新率は、類似団体平均値を上回って経緯している。5年間の平均更新率について比較すると、類似団体平均値が0.82%(更新ペースは約122年)であるのに対して、本市は2.26%(更新ペースは約44年)となっている。これは、統合対象の簡易水道を平成28年度末までに水道事業に統合するため、基幹改良等による施設整備を集中して実施したことによるものと考えられる。
全体総括
本市の簡易水道事業の経営状況は慢性的な赤字の状況にあり、特に料金回収率が類似団体平均値よりも低水準にある。また、施設の整備が近年急速に進捗しており、施設の更新率は向上している半面、これに係る費用(建設改良費、地方債)が増加していることから財政面を圧迫しており経営の悪化につながっている。平成29年度以降は上水道事業へ統合しなかった3地区の簡易水道のみの経営となるが、健全経営化させるための対策としては、今後の法適化も見据えて施工の平準化やダウンサイジング等による適正規模の施設更新をおこなうなど、給水に係る費用を削減させることに併せ、料金の見直しを検討する必要がある。