経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率、⑤料金回収率及び⑦施設利用率は、いずれも経年比較で減少傾向にあり、また、それぞれ類似団体平均値を下回っている。これらにより赤字経営が悪化していることがわかる。これは、給水に係る費用が増加していることが原因であると考えられる。また、施設利用率の低下については、給水人口の減少や節水機器の普及が原因であると考えられる。④企業債残高対給水収益比率及び⑥給水原価は、いずれも経年比較で増加傾向にあり、また、それぞれ類似団体平均値を上回っている。これは、建設改良事業の増加に伴い地方債の残高が増加して、財政を圧迫しているものと考えられる。⑧有収率は、平成24年度までは類似団体平均値を下回っていたが、平成25年以降は79%以上で推移しており、類似団体平均値を上回っている。これは、更新や修繕等による施設の改善により配水効率が向上したものと考えられる。
老朽化の状況について
③管路更新率は、平成23年以降は類似団体平均値を上回っている。5年間の平均更新率について比較すると、類似団体平均値が0.85%(更新ペースは約118年)であるのに対して、本市は1.5%(更新ペースは約67年)となっている。これは、平成28年度末までに簡易水道事業を水道事業に統合するために、基幹改良等による施設整備を集中して進めていることによるものと考えられる。
全体総括
本市の簡易水道事業の経営状況は慢性的な赤字の状況にあり、特に料金回収率が類似団体平均値よりも低水準にある。また、施設の整備が近年急速に進捗しており、施設の更新率は向上している半面、これに係る費用(建設改良費、地方債)が増加していることから財政面を圧迫しており経営の悪化につながっている。健全経営化させるための対策としては、上水道への統合後も見据えて施工の平準化やダウンサイジング等による適正規模の施設更新をおこなうなど、給水に係る費用を削減させることに併せ、料金の見直しを検討する必要がある。