経営の健全性・効率性について
経常収支比率が107.11%(前年度比10.45%上昇)、経費回収率が101.33%(前年度比19.9%上昇)と100%を上回り、類似団体平均と比較しても上回っている。汚水処理原価は154.75円(前年度比66.19円減)で類似団体平均177.02円と比較して22.27円下回っている。前年度(平成29年度)数値と大きく変動しているのは、平成29年度が法適化初年度であり、特例的支出が含まれており、費用が過大に計上されたためである。流動比率は38.74%(前年度比9.37%上昇)と類似団体平均と比較して低い数値となっている。これは法適後2年目であり、流動資産である現金がまだ少ないためである。企業債残高対事業規模比率は、475.83%(前年度比17.18%低下)で類似団体平均と比較して半分以下となっている。これは事業開始時に起債した企業債の元金償還が進んだ結果であり良好な数値である。水洗化率は91.71%(前年度比0.62%上昇)で類似団体平均及び全国平均を上回っており、水洗化が進んでいるといえるものの、今後もさらなる上昇を目指す必要がある。経常収支比率、経費回収率共に100%を超えており経営状態は比較的健全であると言えるが、今後も費用削減や使用料収入の見直し等、今後も経営改善に向けて努力する必要がある。
老朽化の状況について
施設整備後30年近く経過し、法定耐用年数に達する保有資産が発生し始める。資金不足にならないよに将来を見据えて、長寿命化計画に沿った設備更新を進めていくことが課題となる。管渠改善率が0.00%となっているのは、管渠が比較的新しく、マンホールポンプ等の更新を先行して行っているためである。管渠の大規模更新に着手すれば上昇していく見込みであるが、その更新に必要な財源を確保していくことが必要となる。
全体総括
本市は、平成29年度より地方公営企業法を適用し、法適後2回目の決算となる。法適初年度は、前年度の特別会計より引き継いだ特例的収入支出を加えているため、その影響を受けている経営指標もあり、実質的に、初めて比較可能な経営指標が算出されたといえる。経営指標は全国平均、類似団体平均と比較すると概ね良好な数値と言えるが、流動比率等低くなっている指標もある。今後は、更新計画や投資財政計画である下水道経営戦略、ストックマネジメント計画を活用して、より効果的・効率的な経営を進めることが重要である。