経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率が類似団体平均値を下回っているのは、総費用のうち営業費用が多いことが原因である。給水人口約8,300人に対し、5つの簡易水道施設と4つの飲料水供給施設が存在し、各施設の維持管理に伴う経費が総費用の3/4を占めている。施設の維持管理に係る経常経費を抑えるためには、施設の統合が望ましいが、集落が点在する地域性を考えると管路の延長のみならず、水質保全や加圧対策等の課題がある。④企業債残高対給水収益比率が類似団体平均値よりもはるかに低いのは、給水収益が高いわけではなく、地方債の借入が少ないことが要因である。これは、各種補助事業や電源立地地域対策交付金の活用などにより、借り入れを抑えているためである。⑥給水原価が低いにもかかわらず、⑤料金回収率がそれほど高くないのは、水道料金体系が施設維持管理に係る経費の割に低く設定されていることが要因である。独立採算の考え方から、料金の値上げが望ましいが、近隣市町の水道料金体系とのバランスや他のインフラ料金等とのバランスも視野に入れて検討する必要がある。⑧有収率が低いのは漏水事故の影響が大きく、管路の布設替え等、漏水事故の未然防止対策が必要であるが、財政事情を考慮しながら計画的な更新を検討する。
老朽化の状況について
現存する水道施設は昭和54年が最古であり、建物については耐用年数の60年を経過していないが、老朽化の著しい施設から順に更新・改良はしている。しかし、管路については大規模な更新を行っていない。本来、アセットマネジメントに基づき、計画的に更新していくことが望ましいが、現時点でシステムを構築していないため、早期の取り組みを検討する必要がある。なお、システム構築までは漏水事故の発生が多い地域・エリアから順に管路更新を行うなど、維持管理経費を抑える対策が必要である。
全体総括
水道普及率は98.48%とほぼ100%に近くなっており、インフラの使命を果たしている。施設の大規模な修繕がないことと浄水方法が塩素滅菌のみの施設が多いため、給水原価は低く抑えられているが、今後は施設の更新が必要となってきているため、料金体系の見直しや施設の統廃合を視野に入れつつ、維持管理に要する経常経費を抑制する方策を検討する必要がある。