地域において担っている役割
総合的な診療科目を備えた地域の中核病院として、長年にわたり地元に密着して地域医療を支えてきました。また、へき地医療拠点病院として、市内5か所の国保診療所(内へき地診療所4か所)とデータ連携システムで繋がっており、各種診療支援などを行っています。
経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、100%を超え黒字となっているが、一般会計からの繰出しによるものである。②医業収支比率は、平成27年度に平均値となったが、以後、平均値を下回っている。③累積欠損金比率は、平均値より低い数値で推移している。一般会計からの繰出しにより事業収支は黒字化となったが、累積欠損金の解消には至っていない。④病床利用率は、上昇傾向であったがここ3年は前年を下回っている。⑤入院患者1人1日当たり収益は、平均値よりかなり低い額である。⑥外来患者1人1日当たり収益は、平均値に近い額で推移している。⑦職員給与費対医業収益比率は、平均値より低い数値で推移しており、職員配置は適切と分析される。⑧材料費対医業収益比率は、平均値を下回っており、材料費は適正と分析される。病床利用率が低いこと、及び、入院患者1人1日当たり収益が低いことが医業収支比率に影響を及ぼしているものと考えられる。
老朽化の状況について
病院施設については、昭和49年に旧棟を建設、平成7年度に新棟を増築、旧棟部分は、老朽化等のため修繕が必要な部分が多く見受けられ、耐震指数が基準以下の部分があることから、建替えを予定している。①有形固定資産減価償却率及び②機械備品減価償却率において、平均値より高い数値となっており、老朽化が進んでいる状況である。②1床当たり有形固定資産は、平均値よりかなり低い数値であり、更新投資が少ない状況である。
全体総括
医療制度の改正等による医師不足等の影響により、平成15年頃より経営が悪化し、政策審議会からの提言を受け、平成20年10月に指定管理者制度に移行した。これにより、より効率的な運営に努め、地域医療の提供体制は徐々に整ってきたが、依然として経営健全化への見通しは厳しいものとなっている。経営状況としては、一般会計からの繰出しにより黒字化となったものであるが、今後、老朽化した医療機器の更新が必要となることや施設の建替えを踏まえた修繕も必要と考える。なお、現指定管理者との協定が平成29年度で満了となることから、市として民間譲渡を目指す方針を固めており、その後、様々な協議を重ねたところ、年度内に譲渡先が確定、協定を交わし、平成30年4月1日付けで民間病院としてスタートした。これにより、市の病院事業は平成29年度をもって廃止となったが、企業債については、残債があり、一般会計にて引続き償還することとなる。