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令和3年度の当市財政力指数は類似団体が大幅減となるなか前年度から微減となったものの類似団体内順位は依然低位に留まっている。当市の主な内容として、分子となる基準財政収入額は、地方消費税交付金の引上げ分で94百万円の増となったが、個人市民税で206百万円、法人市民税で91百万円の減となり市民税全体で319百万円の減となったことにより全体で189百万の減となった。分母となる基準財政需要額は、地域振興費や道路橋りょう費など事業費補正全体で158百万円の減、公債費で85百万円の減などがあるものの、新設された地域デジタル社会推進費の皆増、高齢者保健福祉費や社会福祉費の増などにより全体で841百万円の増となった。交付税合併特例措置の終了により財源の確保がより困難となっていることから、事務事業・公の施設の見直しなど行財政改革を推進し、財政健全化に取り組んでいく。
令和3年度の経常収支比率は、除雪費で37百万円、病院事業会計負担金で84百万円等があったものの、借入の抑制や平成30年度から据置を設けたことによる公債費で284百万円、水道事業会計負担金(統合簡水)で92百万円、下水道事業会計負担金(農集)88百万円の減等により経常経費充当一般財源は前年度比472百万円の減となり、経常一般財源総額等は、新型コロナウイルス感染症の影響による地方税で62百万円、臨時財政対策債の借入額の減(-96百万円)等があったものの、地方消費税交付金で93百万円、普通交付税の追加交付で813百万円の増等により対前年度で1,145百万円の増となったことから経常収支比率が4.4ポイント改善した。前年度よりも比率が改善したものの、類似団体と比較しても依然として高い数値であることから、さらなる経費の節減に努めるとともに、今後も旧土地開発公社所有宅地等の売却を進め、第三セクター等改革推進債の早期繰上償還を行っていく。
令和3年度の人件費は、市町村合併以来継続している一般職の退職者数に対する一定割合以下での採用(平成25年度以降:3分の1)、労務職の退職者不補充による職員削減の効果により、合併直後の平成18年度と比較して240人減で、人口1,000人当たりの職員数では類似団体より1.25人少なくなっており、平成18年度と比較して1,643百万円の減、前年度比較で41百万円の減となっている。一方で物件費は、新型コロナウイルスワクチン接種体制確保事業・接種事業など委託料の増やGIGAスクール構想の履行に伴う小中学校教育用コンピュータ管理事業などの増により前年度比1,414百万円の増となっており、人件費との合算では前年度比1,373百万円になったことに加え、人口減少の影響もあり類似団体平均・全国平均を上回っている。財政計画においては、経常経費である物件費の削減による効果額を一定程度見込んでいることから、計画とかい離しないよう着実に財政健全化に取り組む必要がある。
平成27年度における類似団体の区分見直し以降、類似団体内順位の概ね中位に位置しており、また、給与制度の大幅な見直し等をここ数年実施していないため、ほぼ横ばいで推移している。上級採用の未実施、職務遂行能力の高い高卒職員の管理職登用等がラスパイレス指数に影響することを踏まえつつ、今後も適正な給与水準の維持に努めるものである。
平成18年2月の市町村合併以降、一般職の採用抑制及び技能労務職の退職者不補充による職員削減を実施したことにより、全国平均・類似団体と比較して大幅に下回る数値となっている。令和3年度における類似団体の人口1,000人当たり職員数が大幅に増加する中、当市においては、人口減少のペースが職員削減効果を上回り、0.09人の微増となった。今後、事務事業の見直し及び組織再編等により、市民サービスの低下を防ぎつつ業務効率化を進めるほか、年齢構成を考慮した定員管理を進めていく必要がある。
令和3年度の実質公債費比率は、前年度比1.2ポイント改善したものの、依然として類似団体の中では最も高い比率となっている。令和3年度実質公債費比率(単年度)は、地方債の償還が進んだことに伴う公債費の減及び令和2年度限りで繰り出した下水道事業の法適化に伴う留保資金分の減などに伴い、分子は縮小し、分母に算入される普通交付税や臨時財政対策債の増により拡大したことから13.53%と改善したうえ、3か年平均の算定から外れた平成30年度実質公債比率(単年度)が17.14%と高い比率であったことから、平均で1.2ポイントの減となったものであり、借入金の着実な返済を推進した効果が出始めている。総合計画における普通建設事業費の適正管理などにより地方債借入額の抑制に努める。
令和3年度の将来負担比率は、分子において、下水道事業法適化に伴い繰り出した留保資金分の影響が薄まったことや地方債の償還が進んだことなどにより大幅な減となり、分母においては、普通交付税及び臨時財政対策債の増に伴って標準財政規模は増となったことにより大幅に改善し、前年度比25.1ポイントの減となったが依然として類似団体平均より高い比率となっている。今後は教育関連施設や病院の整備などに要する起債借入の増が一定程度見込まれることから、今後も事業実施の適正化を図り、財政の健全化に努める。
令和3年度の人件費は、経常一般財源が前年度比14百万円減、全体では0.6ポイント減となっており、全国平均・類似団体比較においても上位となっている。合併以来継続してきた一般職の退職者数の5分の1(平成25年度より3分の1)採用、労務職の退職者不補充による職員削減の効果などがあったことに加え、令和2年度にあった国勢調査費の皆減などにより全体としては前年度比41百万円の減となっている。合併後の平成18年度以降で比較すると、経常一般財源ベースで1,838百万円の減、職員数では240人の減となっている。
令和3年度の物件費は、経常一般財源が前年度比14百万円増となったものの、標準財政規模の増により前年度比0.4ポイントの減となっている。全体としては、新型コロナウイルスワクチン接種体制確保事業・接種事業など委託料の増やGIGAスクール構想の履行に伴う小中学校教育用コンピュータ管理事業などの増により、前年度比1,414百万円の増となっている。財政計画(長期財政見通し)においては、経常経費である物件費の削減による効果額を一定程度見込んでいることから、計画とかい離しないよう着実に財政健全化に取り組む必要がある。
令和3年度の扶助費は、経常一般財源が前年度比18百万円減となり、0.4ポイントの減となっている。全体としては、新型コロナウイルス感染症対応である子育て世帯への臨時特別給付金給付事業や住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金給付事業など経常一般財源を充当しない事業などにより前年度比2,222百万円の増となっている。本市の人口は、令和2年度末と令和3年度末で比較した場合に1,481人減少している一方、少子化対策である子ども子育て関連経費などの高止まりや、障がい者への福祉サービス給付の増傾向により、引き続き増加が見込まれる。
その他に関する経常収支比率が類似団体平均を上回っているのは、繰出金が主な要因であるが、国庫支出金を一部充当した国民健康保険特別会計繰出金で114百万千円、介護保険特別会計(事業勘定)繰出金で45百万円の増などがあり前年度比115百万円の増となったものの、包括支援センターの外部委託や介護保険関係の内部組織の見直しに伴う事業費支弁人件費の減などにより経常一般財源で前年度比64百万円の減となっており、繰出金は0.5ポイントの減、その他の全体としては0.4ポイント減となっている。今後は、下水道事業などの料金の改定や公共施設等総合管理計画に基づく施設の見直しなどにより繰出金や施設修繕の計画的な執行に努める。
令和3年度の補助費等は、経常一般財源が前年度比177百万円の減となり、1.1ポイントの減となっている。全体としては、経常一般財源を充当しない経営体育成支援事業で264百万円、被災農業者緊急支援事業で130百万円の増などがあるものの、経常一般財源を充当しない特別定額給付金給付事業で11,517百万円の皆減などにより前年度比13,333百万円の大幅減となっている。今後、下水道事業における浄化槽事業の企業会計移行に伴う負担金の増も見込まれており、物件費同様事業の見直しに取り組む必要がある。
令和3年度の公債費は、合併前市町村で借入した道路整備事業債などが順次終了していったことや借入抑制の結果により、経常一般財源で前年度比284百万円の減、1.5ポイントの改善となっている。類似団体の中では依然として下位であり、今度も財政計画に基づき新発債の抑制など健全な財政運営を図っていく必要がある。また、旧土地開発公社所有宅地の売払を今後も進め、それを原資とした第三セクター等改革推進債の繰上償還を行っていく。
公債費を除いた経常経費で多くを占めるのが人件費と補助費等となっている。人件費については、一般職の退職者数に対する採用抑制、労務職の退職者不補充に加え、平成23年度から平成27年度まで独自給与削減を実施したことから類似団体の平均を上回る抑制された数値となっている。補助費等については、下水道事業における料金の改定や病院事業会計における持続可能な医療供給体制の構築などの取組を推進するとともに、行政経営改革プランの確実な履行により、事業の選択と集中による歳出抑制を確実に実行していく必要がある。また、今後、公共施設の維持・更新に多額の経費を見込んでおり、事務事業・公の施設見直し指針に基づき、統廃合を進めていく必要がある。
(増減理由)起債償還のための取崩しをはじめ基金の設置目的に合致した事業の財源としての取崩しで-189百万円となったが、財政調整基金でふるさと応援寄附金の大幅な増等の影響により、地方財政法第7条に基づく令和2年度決算剰余金の1/2積立てを含み全体で905百万円の増額となったことから、基金全体としては715百万円の増となった。(今後の方針)普通交付税の合併算定替の終了に備えて積立期間としてきたが、今後は財政調整基金などの各基金の活用(取崩し)期間としており、財政状況の悪化を受け令和2年に全面改訂した財政計画においては、財政健全化の取組を進めることを前提に基金全体の令和8年度末残高について59億円を確保することとしていたが、令和3年度に財政調整基金残高が財政計画より上振れしたことから長期財政見通しの見直しを行い財政調整基金残高で60億円ほどを令和8年度末見込額としている。
(増減理由)ふるさと応援寄附金の大幅な増等の影響により、予定していた財源不足による繰入を行わず、地方財政法第7条に基づく令和2年度決算剰余金の1/2積立てを含み全体で905百万円の増額となった。(今後の方針)普通交付税における合併算定替措置が終了し、より一層歳入の確保が難しいことから、財政調整基金を活用(取崩し)しての財政運営が見込まれる。
(増減理由)旧土地開発公社の土地売払い収入分の積立252百万円、基金運用利子積立1百万円、起債償還のための取崩し-320百万円等により、全体で40百万円の減額となった。(今後の方針)旧土地開発公社の土地売払い収入の総額が一定額確保できた場合には、減債基金を取り崩して繰上償還を行うことにより、将来負担の軽減を図る。平成29年度以降の財源不足に備えるため、令和3年度までの間は計画的に毎年2億円の取崩しを行うこととしている。
(基金の使途)○地域振興基金は、地域住民の連携の強化又は地域振興のために設置している。○協働のまちづくり基金は、地域の自治意識及び一体感を醸成する地域活動に要する経費の財源に充てるため設置している。○地域福祉基金は、高齢化社会に対応した地域福祉の増進に要する経費の財源に充てるため設置している。○森林環境譲与税基金は、森林環境譲与税を、森林の整備及びその促進に関する施策に要する経費の財源に充てるとともに、当該施策を長期的かつ計画的に進めるため設置している。○新型コロナウイルス感染症対応中小企業融資金利子補給基金は、新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置が及ぼす影響により経営状況が悪化している市内中小企業者の円滑な資金調達を支援するため設置している。(増減理由)協働のまちづくり基金積立200百万円、地域振興基金積立113百万円、森林環境譲与税基金積立48百万円、地域振興基金取崩し-400百万円、協働のまちづくり基金取崩し-47百万円、新型コロナウイルス感染症対応中小企業融資金利子補給基金取崩-33百万円、地域福祉基金取崩し-30百万円等により、全体で149百万円の減額となった。(今後の方針)○地域振興基金については、合併特例債を活用して積立てを行うことから、令和7年度までは一定額を積み立てつつ、財源不足に対応するために毎年取崩す見込みである。○その他の基金についても、基金の目的に合致した事業の実施のための財源として計画的に取り崩す見込みである。
有形固定資産の老朽化に伴い、前年度比1.8ポイント増加したが、類似団体平均を僅かながら下回っている。今後は、令和5年3月に改訂した「奥州市公共施設等総合管理計画」、随時改訂を行っている「個別施設計画」に基づき、人口動態等の変化に対応した公共施設等のあり方を検討するとともに、施設規模や配置、機能等の適正化を図っていく。
旧土地開発公社清算のための第三セクター等改革推進債や新市建設計画に基づく事業実施のための合併特例債など、発行した地方債の残高が類似団体と比較して多額であるが、プライマリーバランス黒字の堅持により将来負担額は減少傾向にある。普通交付税の追加交付や地方消費税交付金の増加による分母の増により、対前年度比146.9ポイント改善し、類似団体平均を上回った。財政計画に基づき、市債の発行額を抑制するとともに、低利資金の活用や資金調達方法の多様化を図ってきたが、今後も引き続き市債の発行規模等に留意しならが、公債費負担の軽減に努めていく。
プライマリーバランス黒字の堅持により、市債残高を着実に減少させてきた効果と、追加交付による普通交付税の増や消費税率の引き上げに伴う地方消費税交付金の増、森林環境贈与税の新設といった標準財政規模の増加により将来負担比率は類似団体平均に近づくまで減少した。有形固定資産減価償却率は類似団体と比べて低い水準にあるが、公共施設の老朽化は進行しており、比率は上昇傾向にある。今後は令和5年3月に改訂した「奥州市公共施設等総合管理計画」、随時改訂を行っている「個別施設計画」に基づき、計画的な維持管理と長寿命化を推進し、中長期的なコストの縮減を図るとともに、施設の統廃合を進め、財政負担の軽減と平準化に取り組んでいく。
実質公債費比率は、類似団体と比較して高い水準にあり、据置期間なしでの起債償還を進めたことから公債費が増加し平成29年度から上昇傾向であったが、令和2年度からは過去に借り入れた市債の償還額がピーク時に比し減少しているため今後は減少するものと見込んでいる。令和3年度は償還額の減少に加え、追加交付による普通交付税の増や消費税率の引き上げに伴う地方消費税交付金の増、森林環境贈与税の新設といった標準財政規模の増加要因があったため、前年度に比べて大幅に減少した。将来負担比率についても、類似団体と比較して高い水準にあるが、プライマリーバランス黒字の堅持により市債残高が減少し、類似団体平均に近づくまで減少した。今後も引き続き市債の発行規模等に留意しながら、公債費負担の軽減に努めていく。
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