経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、使用料収入等の収益で維持管理費等の費用が賄えている割合を表す。100%を超えており、単年度での黒字収支を示している。③流動比率は、1年以内の短期的な債務に対する支払能力を表している。約25%で平均を下回っていることから経営改善を図っていく必要がある。④企業債残高対事業規模比率は、企業債残高規模を表す指標で平均を大きく上回っている。市内32か所に処理場を整備したものの、居住人口が伸びず、整備費用に見合った使用料収入が見込めない状態にある。更新費用の抑制が必要であり公共下水道への接続を順次計画している。⑤経費回収率は、汚水処理費用を使用料でどの程度賄えているかを表す。現状は使用料収入以外の収益に頼っている状態であり、汚水処理費用の削減と使用料収入の確保が必要である。⑥汚水処理原価は、有収水量1㎥当たりの汚水処理費用を表す。現状は接続率向上に向けた有収水量増加への取組等の経営改善が必要である。⑦施設利用率は、施設等の一日当たりの対応可能な稼働能力に対する平均処理水量の割合で平均を下回っている。施設の統廃合を進め、適正な施設規模にする必要がある。⑧水洗化率は、公共用水域の水質保全の観点等から100%となることが望ましい。水洗化に消極的な高齢者世帯も多いが90%を超え平均を上回っている。
老朽化の状況について
農業集落排水は昭和58年に整備を開始した。破損等のリスクが高まるとされる、30年以上を経過する管路施設が年々増加しているものの、これまで改築、更新を実施するほどの劣化は確認されていない。しかし、耐用年数15年を経過したマンホール蓋や、更新時期を迎えた処理施設が多く、それぞれ劣化や破損が見られることから、機能強化事業を実施し、計画的に改築や更新を行っている。今後は、財源確保や経営に与える影響等を踏まえ、計画的に更新等を実施していく必要がある。また、汚水処理基本計画により市全域での汚水処理施設の統廃合を進め、総費用の削減に努めていく必要がある。
全体総括
下水道使用料及び基準内繰入金のみでは、経費の全てを賄えず、不足する分は基準外繰入金により収支均衡を保っている。今後は、人口減少及び節水型機器の普及を要因とした有収水量の減少が見込まれるため、未接続世帯の水洗化促進を行っていく必要がある。また、持続的な事業実施のため、汚水処理基本計画に基づく汚水処理人口普及率95%の早期概成に向けた処理施設の整備及び市全域を対象とした統廃合の取組に加え、計画的な施設の改築又は更新による総費用の削減を行う。