地域において担っている役割
①医療機関や介護施設等と密接に連携し、住民の安心を24時間365日守るための医療の提供②二次救急医療を担い、小児医療、災害医療、感染症医療等、民間医療機関では提供できない不採算・特殊部門に関わる医療の提供③国保直営診療施設として保健・福祉・介護分野の密接な地域連携の核となって、国東市における地域包括ケアシステムを構築する役割④多種にわたる学生の地域医療実習の実施等を含む広域的な医師派遣の拠点としての機能
経営の健全性・効率性について
【経常収支比率】【医業収支比率】類似団体平均以上で推移してはいるものの、前年よりは悪化した。【累積欠損金比率】過去の特別損失(現金支出を伴わない費用)の累積であり、単に経営赤字の累積を示すものではない。【病床利用率】類似団体より高い水準にあるものの、近年伸び悩んでおり、収益確保のためには十分な利用率とはいえない。【1人1日当たり収益】入院1人1日当たり収益が頭打ちの状況にあるが、令和2年度開始のDPC制度によって収益の改善が望まれる。【職員給与費対医業収益比率】類似団体平均より高く推移しており、前年より悪化している。職員の適正配置や給与費の適正化が引き続き検討課題となってくる。【材料費対医業収益比率】類似団体に比べ低く推移しており、適正水準である。
老朽化の状況について
【有形固定資産減価償却比率】平成24年度に新病院建設後、未償却残高も多く、類似団体平均を下回っているものの、一部施設の老朽化が発生しており、修繕費の増加が懸念される。【器械備品減価償却比率】新病院建設時に更新した医療機器の減価償却が概ね終了し、類似団体平均を若干上回っている。一部の高額医療機器について更新時期が迫っており、中長期的な更新計画を策定する必要がある。【1床当たり有形固定資産】類似団体平均を下回っており、適正水準である。
全体総括
新公立病院改革ガイドラインにおいて示されている経常収支比率100%の目標を早急に達成する必要がある。決算状況を分析すると医業収益の減少に対して費用が増加することによる経営の非効率が進行していることがうかがえる。収益面において平均単価や病床利用率の上昇に限界が見える中、次年度より適用されるDPC制度の運用やその他の増収に向けての取組みを更に強化していく。また、引き続き非常勤診療科の常勤医確保にも力を入れていく。一方で費用面においては給与費対医業収益比率が高いことが指摘されており、給与制度の抜本的な見直しは喫緊の課題といえる。また、有形固定資産の保有状況は適正な水準にあるものの、今後は旧館の改修、高額医療機器の更新などが予定されている。大型の設備投資を見据え、経営・財務・投資など様々な側面から中長期計画を策定し、病院運営の将来の在り方を考えていく必要がある。