地域において担っている役割
共立蒲原総合病院は、旧庵原3町及び旧芝川町の地域では、入院施設のある唯一の病院である。「急性期病床」「地域包括ケア病床」「療養病床」の3つの病床機能を有するケアミックス病院で、必要な医療を切れ目なく提供できるよう取り組んでいる。高齢化率の高い地区で在宅医療等も必要不可欠となるため、訪問看護ステーションで在宅医療、併設の介護老人保健施設で介護を提供している。また、健康診断センターも有しており、病気の早期発見、早期治療により健康寿命を延ばす予防医学にも取り組んでいる。当院は、災害発生時の孤立化が懸念される地域に立地する唯一の救護病院である。地域住民が安心して生活を送るため救急医療、災害医療の提供体制を維持し続けることが必要である。令和2年度は新型コロナウイルス感染症が流行する中、いち早く行政と連携を取り、検査、治療を実施した。引き続き新型コロナウイルス感染症から住民の命、健康を守ることが責務と考える。
経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、構成市からの損失補填補助金収入により、収支の均衡が保たれている。しかし、本業である医業収支比率は、平成29年度から毎年改善しているが、医業費用を医業収益で賄えていない状況である。病床利用率は、類似病院の平均値を上回るが、当院は療養病床が高い稼働率のため利用率を引き上げている。1人1日当たり入院収益及び外来収益は、類似病院の平均値を下回る。入院収益は、当院は急性期病床の他、地域包括ケア病床及び療養病床を有しているため、類似病院の平均値を下回る。収益増を図るため新たな加算取得、出来高算定可能な検査件数増に努める。外来収益は、日帰りの手術、検査件数が少ないため、類似病院の平均値を下回る。外来診療の充実を図り、日帰りの手術、検査件数の増に努める。職員給与費対医業収益比率は、類似病院平均値と比較すると高い水準で推移している。中途採用者が多く平均年齢を引き上げているため、新卒者を多く採用し新陳代謝を図り給与費の削減に努めていく。収益、支出とも改善が必要である。収益では医業収益を確保するため大学訪問、医師紹介会社の活用、医師募集の広告掲載等により常勤医師の招へいを図る。支出では業務改善等により職員配置の適正化を図り人件費を抑制し、収支改善に努める。
老朽化の状況について
当院は、新築移転から38年が経過し本館の老朽化が著しい。令和2年度から病棟の大規模修繕工事を実施し、令和3年9月に終了予定である。立替の予定は無いため、引き続き長寿命化に努める。また、医療器械については、耐用年数を超えて使用している物もあるが、計画的な設備更新を行い財政負担の平準化に努める。1床当たり有形固定資産は、類似病院の平均値より低い状態である。過去に運営をしていた看護学校の建物を有している事や健診センター事業、訪問看護事業を有している事等を考慮すると実質はより少ない資産保有となる。財源が限られているため、必要な設備更新等は企業債を効果的に使用して財源確保に努める。
全体総括
当院は、富士医療圏及び静岡医療圏の境界に位置し、両圏域の患者を受入れている。外来患者の約72%、入院患者の約46%は、旧庵原3町と旧芝川町の住民で占められている。この地域には競合する公立・公的病院、民間病院はなく、他病院との統合や再編は困難と考える。また、当院はケアミックス型病院であり、近接する市立病院とは病床機能において、急性期、回復期で重複するものの適切な配分となっており、慢性期は当院だけが持つ病床機能である。今後も圏域の地域病院として、基幹病院と連携しながら経営改善に努めていく。また、新型コロナウイルス感染症の患者に対し検査、治療を提供し、公立病院として地域医療を支えていくことが必要である。