経営の健全性・効率性について
本町は地理的条件の悪い過疎地域に位置し、給水区域が人口密度の低い山間部に広く分散していることから、施設効率が低い事業運営となっており、経営の健全性や効率性に関する指標は、全国平均や類似団体の平均と比較して全般的に劣っている傾向にあります。また、台風第10号豪雨災害(以下「台風」)による影響で、例年に比べ各表に変動が見られます。具体的には、収益的収支比率は一見改善しているように見えますが、災害復旧費に係る収支を内包しているためであり、給水収益が改善しているわけではありません。料金回収率については災害復旧費の増大及び水道料金の減免により例年を大きく下回っており、総収益や維持管理費等の給水に係る費用を水道料金等で賄えていない状況にあることから、費用の縮減に努めるとともに、料金で回収すべき費用や将来必要な投資経費を踏まえた料金水準のあり方について、住民の負担能力を勘案しながら検討する必要があります。また、企業債残高対給水収益比率が増加傾向にあることから、将来的に経営の不安定要因とならないよう留意する必要があります。給水原価に関しては、地理的事情により施設の一体化が困難で多数の水道施設を擁するため、維持管理費が嵩むこと、過去に借り入れした企業債の償還負担の関係、及び災害復旧費用の増大から、全国平均や類似単体の平均と比較して昨年度よりさらに高額となっています。施設利用率は、各施設の配水量について台風により施設に甚大な被害を受けたこと及び長期断水により減少したものです。また、災害復旧に伴い、漏水対策も併せて行ったことから有収率が上がり、50%を超えました。ただし、依然として施設の稼働状況が収益に結びついていない状況は変わりないことから、有収率の向上に向けて漏水の解消や老朽管の更新に努める必要があります。
老朽化の状況について
台風により被害を受けた施設の復旧を最優先に考え、一刻も早い事業の正常化を進めるとともに、経年により老朽化が進んだ設備や管路等があることから、経営状況を踏まえながら計画的な施設更新に努め、施設能力を維持する必要があります。なお、施設更新にあたっては、耐震化も同時に展開するとともに、更新対象となる施設の状況や重要度、優先度等を勘案し、実施時期等を調整のうえ年度毎の事業量の平準化を図ります。
全体総括
台風により被害を受けた施設の復旧が最優先課題であり、事業の正常化に努める必要があります。また、水需要の減少と施設の更新需要の増加等の事業を取り巻く環境を踏まえ、将来にわたって安全で安心な水の安定供給を図るため、経営課題に取り組み、経営基盤の強化を図ります。将来的には、民間の技術力やノウハウが活かせる業務に関して、費用対効果を検証のうえ民間活力の導入を図り、良質な住民サービスの提供と事業の効率化、コスト削減を目指していきます。