地域において担っている役割
当院は貝塚市及び周辺地域において、中核的な基幹病院として質の高い医療を安定的かつ継続的に提供しており、小児輪番制の救急をはじめ、大阪府がん診療拠点病院としてがんのトータルケア等の特色を活かした医療も提供している。また、りんくう総合医療センターとの周産期医療と婦人科医療における機能分担の取組(泉州広域母子医療センター)や、臨床研修医の受入を行うなど、地域の医療貢献にも取り組んでいる。
経営の健全性・効率性について
経営指標に係る数値については、概ね類似病院平均値より良好な結果となっている。令和元年度の外来患者1人1日当たり収益は平成30年度と比較して、外来化学療法件数の増に伴い上昇している。一方、材料費対医業収益比率については、類似病院平均値を上回る状況が続いている。また、病床利用率は平成30年度以降、平均在院日数が減少したこと等により類似病院平均値を下回っている。経常収支比率については、診療単価の増、病床利用率の増等により平成30年度に比べ改善したものの、100%を下回っている。
老朽化の状況について
平成8年度に病院が完成し、現在20年以上経過していることから、建物本体の耐用年数の半分程度が経過した状況である。また、空調設備、電気設備等の附帯設備については、耐用年数を既に経過しており、順次更新を進めている。同様に、医療機械器具等の資産についても、老朽化が目立つ状況であり、高度医療を提供するため、CT、電子カルテ等の高額医療機器も更新の予定である。加えて、建物及び附帯設備の取得額が大きい。その結果、有形固定資産減価償却率、器械備品減価償却率及び1床当たり有形固定資産の3指標とも類似病院平均値を上回っている。
全体総括
当院の理念は「地域住民を守る良質な医療の提供」であり、今後も地域の中核病院として急性期機能を担い、がんのトータルケアを提供するとともに、令和2年10月に開設した地域包括ケア病棟を活用して、急性期からリハビリ、在宅復帰に至るまで包括的な支援を行い、地域のニーズに応えていきたいと考えている。これを継続的に実現していくためには、安定した経営が不可欠であることから、ベンチマークを用いた価格交渉等による材料費の削減や、地域包括ケア病棟開設による患者の確保で病床利用率の向上を図るなど、様々な経営効率化に取り組み、経常収支の黒字を達成していく。また、老朽化した施設等の更新、無駄のない医療資源への投資を行い、今後も地域における医療貢献を最大限に発揮していく。