経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、99.27%であり、主な収益である給水収益は前年度と比較して微増しているが、光熱水費等が増加したことにより100%を下回った。今後も光熱水費等の増加は見込まれるため、使用料の値上げを検討する必要があると考える。②累積欠損金比率は0%であり、累積欠損金はない。しかしながら、施設の老朽化が進んできているため、更新費用がかかることにより、今後数値が上昇していく懸念がある。③流動比率は年度内に支払いが完了しない未払金が発生したことで流動負債が増加したが、一時的なものであり問題ないと考える。④企業債残高対給水収益比率は、H28・H29年度に公営企業会計適用のため資産調査等を実施するための町債が反映されており、類似団体平均値、全国平均と比較してもかなり低くなっている。⑤料金回収率は、給水に係る費用を概ね給水収益で賄えている。しかしながら、給水人口の減少に伴い今後数値が減少していく傾向にあり、適切な料金収入の確保のため、使用料の値上げ等を検討する必要があると考える。⑥給水原価は、類似団体平均値、全国平均を大きく下回っているが、更新工事が始まると急上昇する恐れがあるため、収益を黒字に保ちながらの更新計画が必要であると考える。⑦施設利用率は類似団体平均値、全国平均のいずれも上回っており、一定の施設効率性を保っていると考える。⑧有収率は類似団体平均値、全国平均と比較して低く、配水管や給水装置の老朽化による漏水等が考えられる。漏水の早期発見と計画的な管更新が必要であると考える。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率の状況は、類似団体平均値、全国平均を下回っているが、令和元年度より法適用へ移行した際に資産価値を経過年数分減じて評価し直したうえで減価償却をおこなったことが原因と考えられる。②管路経年化率は、簡易水道管路の大半が民営による水道事業からの受贈によるものであるため、0%としていたが、精査した結果、R2年度より67.54%となった。既に耐用年数を超えた管路が多数あることから、計画的な管路更新が必要になると考える。③管路更新率は、各簡易水道事業とも経営規模が小さく、予算の制約が大きいため進んでいない。財源確保のためには使用料金の値上げ等も検討していかねばならないと考える。
全体総括
例年同様、施設及び管路更新が進まず有収率は低水準のままである。現時点で経営は概ね健全であるように見えるが、今後の人口減少を想定し、起債や使用料の値上げ等多角的に経営の健全化を図りつつ施設の更新計画を作成する必要がある。また、各簡易水道事業において、経営戦略を策定し、効率的な事業運営を推進するとともに更なる経費削減に努めていく。