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地方財政ダッシュボード

新潟県湯沢町の財政状況(2021年度)

🏠湯沢町

地方公営企業の一覧

末端給水事業 公共下水道 特定環境保全公共下水道 湯沢病院


収録データの年度

📅2023年度📅2022年度📅2021年度📅2020年度📅2019年度📅2018年度📅2017年度📅2016年度📅2015年度📅2014年度📅2013年度📅2012年度📅2011年度

総括表

人口の推移

財政比較分析表(2021年度)

財政力指数の分析欄

類似団体、全国市町村、新潟県内市町村の平均を上回っている要因として、大規模発電施設やリゾートマンションに係る固定資産税収入が挙げられますが、その増加につながる新規の大規模投資がほとんどないことから、減価償却により減少していくことが見込まれており、歳入と歳出の均衡のとれた財政運営を行っていく必要があります。

経常収支比率の分析欄

直近5年間の数値からは明らかな増加又は減少の傾向は読み取れないものの、降雪量による除排雪経費の増減が経常収支比率にも影響を及ぼしています。今後も固定資産税額の減少に伴う歳入の減少や、老朽化した公共施設やインフラの維持管理費等の増加による歳出の増加が見込まれていることから、効率的な行政運営を行い、経常経費の抑制を図る必要があります。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

類似団体、全国市町村、県内市町村の平均をいずれも上回っています。温泉観光地である当町には共同浴場やレジャー施設が数多くありますが、老朽化したそれらの施設やインフラの維持管理費の増加等が要因として挙げられます。今後は施設の統廃合も念頭に置いて、経費の削減を図っていきます。

ラスパイレス指数の分析欄

当町のラスパイレス指数は、類似団体、全国市町村、県内市町村の平均をいずれも下回っており、職員の給与水準は低い状態であるといえます。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

職員数の減少により、類似団体とほぼ同様の数値となっています。リゾートマンションオーナーなど町外納税者への対応のために、課税徴収部門を強化しているなど特殊事情が要因となり、全国市町村や県内市町村の平均を上回っています。

実質公債費比率の分析欄

平成28年度から令和3年度までの間、元利償還金が増加し、元利償還金・準元利償還金に係る基準財政需要額算入額が減少したことにより、数値が増加しています。類似団体、全国市町村、県内市町村の平均よりも低い数値となっています。

将来負担比率の分析欄

下水道特別会計の町債の償還が進んでいることで公営企業等繰出見込額が減少し、数値の改善傾向が見られます。令和2年度は新型コロナウイルス感染症の影響や雪対策のため財政調整基金を取崩し、将来負担額に充当可能な財源が減少したため悪化しましたが、新型コロナウイルス感染症の影響が弱まった令和3年度は改善しました。早期健全化基準を大きく下回っていますが、新規の借入を必要最低限にとどめるなどして、将来負担比率が増加しないように努めます。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2021年度)

人件費の分析欄

類似団体、全国市町村、県内市町村の平均よりも低いものの、今後も業務に応じた職員定数の適正化図っていきます。

物件費の分析欄

類似団体、全国市町村、県内市町村の平均をいずれも上回っています。物件費の比率が大きくなっている要因としては、当町が温泉観光地で共同浴場やレジャー施設といった公共施設を多く抱え、その維持管理費がかさんでいることに加え、新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減少した施設の赤字補填のための指定管理料の増加が考えられます。施設の統廃合や維持管理手法の見直しなど、今後も業務の効率化と経費の削減に努めます。

扶助費の分析欄

類似団体、全国市町村、県内市町村の平均を下回っています。年度毎に変動する要因としては、医療費(障がい者医療費等)や保育士の賃金等の増減があります。

その他の分析欄

類似団体、全国市町村、県内市町村の平均をいずれも上回る高い数値となっているのは、維持補修費や繰出金によるものと考えられます。下水道特別会計の町債返済など、他会計の収入不足を補うための一般会計からの繰出金や町有施設の維持補修費、除排雪に係る経費が大きくなっていることなどが要因となっています。

補助費等の分析欄

消防業務やごみ処理業務を始めとする多くの広域業務を隣の南魚沼市に事務委託しているため、類似団体、全国市町村、県内市町村の平均をいずれも上回る高い数値となっています。新しいごみ処理施設の整備が遅れていることから、現在のごみ処理施設の長寿命化を図りながら対応していますが、老朽化が進んでいることから修繕費用がかさみ、大きな負担となっています。

公債費の分析欄

類似団体、全国市町村、県内市町村の平均をいずれも下回っていますが、保育園や小中学校の統合整備に係る借入や臨時財政対策債の元金償還が始まっていることから増加傾向にあります。借入額増加のペースが上がっているので、新規の借入を必要最小限に抑え、償還とのバランスを考えていく必要があります。

公債費以外の分析欄

公債費の率が平均を下回っていることから、逆に公債費以外の率は平均を上回っています。物件費や補助費が平均を上回っていることが、大きな要因であると考えられます。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2021年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

総務費は令和2年度に特別定額給付金の支給があったことから、令和3年度は大きく減少しました。民生費は令和3年度に新型コロナウイルス感染症対策として、住民税非課税世帯等臨時特別給付金や子育て世帯等臨時特別給付金などの支給があったことから大きく増加しました。衛生費は令和3年度に新型コロナウイルス感染症対策として、ワクチン接種及び接種体制確保等を行ったことで増加しました。土木費は越後湯沢駅周辺の整備事業が本格的に始まったことで増加しました。災害復旧費は台風19号の被害があった令和2年度に比べて大きく減少しました。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2021年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

平均を大きく上回っているのは維持補修費と補助費等、繰出金で、維持補修費は数多くの温泉施設やレジャー施設を抱え、それらが老朽化して維持補修に多額の費用を要していること、補助費等は消防業務やごみ処理業務といった広域事務を隣の南魚沼市に事務委託していること。繰出金は多額の町債を抱えて元利償還金が大きな負担となっている下水道特別会計と、不採算地区病院である湯沢町保健医療センターを運営するための病院事業会計に多額の繰出(補助)をしていることが大きな要因です。公債費は平均より低い数値であるものの、保育園や小中学校の統合整備に係る借入の元金償還が始まったことや、越後湯沢駅周辺の整備に係る土木債や臨時財政対策債の借入額の増加に伴いこの5年間で大きく増加しているので、償還とのバランスを考慮し必要最低限の借入に抑えていく必要があります。

実質収支比率等に係る経年分析(2021年度)

分析欄

令和2年度は新型コロナウイルス感染症の影響や豪雪による除排雪経費の増加で財政調整基金を大きく取り崩しましたが、令和3年度はこれらの影響が弱まったことと、普通交付税交付額が大きく増加したことにより積立てることができました。なお、実質赤字比率が標準財政規模の20%以上になると財政再生団体に該当するため、これに相当する赤字額に対応することに加え、大規模な自然災害等の緊急時の備えとして10%を目途に、標準財政規模の30%程度の財政調整基金を確保したいと考えています。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2021年度)

分析欄

湯沢町の一般会計及び公営企業会計を除く公営事業会計(国民健康保険特別会計、後期高齢者医療特別会計、介護保険特別会計)で、実質収支の赤字の会計はありません。また、公営企業会計(下水道特別会計、水道事業会計、病院事業会計)について資金不足は発生していません。病院事業会計の占める割合が増加傾向ありますが、企業債の元利償還金の全てを一般会計からの補助金で賄っており、その補助金が長期前受金戻入に計上され利益化されているため、黒字額が大きくなっています。

実質公債費比率(分子)の構造(2021年度)

分析欄

保育園や小中学校の統合整備に係る借入や近年借入額が増加していた臨時財政対策債の元金償還が始まったことにより、この5年間で元利償還金は大きく増加しました。公営企業の元利償還金に対する繰入金は、主に下水道特別会計に対するものですが、こちらは順調に償還が進み減少傾向です。

将来負担比率(分子)の構造(2021年度)

分析欄

将来負担額は公営企業債等繰入見込額の減少に伴い、数年来減少傾向にありましたが、一般会計の町債残高の増加傾向に押され、令和3年度は増加に転じました。越後湯沢駅の周辺整備等に係る土木債や臨時財政対策債の借入額が増加し、借入残高の増加傾向が強まっているので、できるだけ有利な条件で必要最低限の起債に留めていく必要があります。

基金残高に係る経年分析(2021年度)

基金全体

(増減理由)特定目的金も含めた基金残高は20億円強で推移してきましたが、令和2年度は新型コロナウイルス感染症や豪雪による除排雪経費の影響で大きく取り崩したことにより約17.5億円に減少しました。令和3年度は新型コロナウイルス感染症の影響が弱まったこと、降雪量が平年並みであったこと、普通交付税交付額が大幅に増加したことにより財政調整基金に積立てることができ、20億円弱まで回復しました。(今後の方針)数多くの老朽化した施設を抱えていることによる物件費や維持補修費の増加、町債残高の増加に伴う公債費の増加がこのまま続くと、財政運営に深刻な影響を及ぼすことになるため、施設の統廃合の検討を進めるとともに、必要最低限の借入で事業を実施していく必要があります。

財政調整基金

(増減理由)令和2年度までは毎年のように取り崩して残高が減少してきましたが、令和3年度は新型コロナウイルス感染症の影響が弱まったこと、平年並みの降雪量で除排雪経費が令和2年度ほどかさまなかったこと、普通交付税交付額が令和2年度より大幅に増加したことにより、大きく積立てることができました。(今後の方針)健全化判断比率における実質赤字比率においては、標準財政規模の20%以上の赤字が生じると財政再生団体に該当するため、これに相当する赤字額に対応することに加え、大規模な自然災害等の緊急時の備えとして10%を目途に、標準財政規模の30%程度(約15億円)の財政調整基金を確保することを目指します。

減債基金

(増減理由)増減なし。(今後の方針)減債基金に頼ることのないよう、健全な財政運営に努めます。

その他特定目的基金

(基金の使途)・湯沢こころのふるさと基金:ふるさとの税寄附者への謝礼及び寄附者の指定する事業へ充てる・美実館建設基金:美術館の建設資金に充てる・ふるさと基金:南魚沼市広域計画協議会における広域的な事業に充てる・公共事業基金:各旧村の公共事業費に充てる・旧学校施設等解体撤去基金:旧学校施設、旧保育園施設の解体及び撤去の費用に充てる・湯沢町森林安協譲与税基金:森林整備や人材育成、担い手確保、木材利用の促進や普及啓発等の費用に充てる(増減理由)・湯沢こころのふるさと基金:ふるさと納税寄附額の増加にによる増・旧学校施設等解体撤去基金:旧学校施設、旧保育園施設の貸付料等を基金に積立てていることによる増・美術館建設金:運用による利子積立による増・公共事業基金:運用による利子積立額を事業実施のための取崩額が上回ったことによる減・湯沢町森林環境譲与税基金:森林環境譲与税収入額を事業実施のための取崩し額が上回ったことによる減(今後の方針)現状を維持する中で、目的を達成するために必要な取崩・積立を随時行っていきます。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2021年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

平成26年度に小中一貫校の開校、平成28年度に認定こども園が開園したことにより、全体の減価償却率が押し下げられ、類似団体よりも低い値で推移してきましたが、年々その差が縮まりつつあります。上記施設以外は多くの施設で老朽化が進んでおり、今後の維持管理にかかる費用がより一層増大していくことが見込まれます。長期的な財政コストを認識し、施設の廃止を含め検討していくことが求められます。

債務償還比率の分析欄

過去5年間において、当町の債務償還比率は類似団体平均値と概ね似たような増減を辿っています。令和2年度は新型コロナウイルス感染症対策等により財政調整基金を取り崩したために悪化したものと考えられますが、令和3年度には基金残高も回復し、債務償還比率も改善しました。長期的には債務償還比率は改善傾向が見られますが、これは下水道特別会計の元金償還が進み、償還金に充当する一般会計からの繰出金が減少しているためです。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

将来負担比率は、令和2年度を除き減少もしくは横ばいで推移しています。これは、下水道特別会計の元金償還が進み、償還に充てていた一般会計からの繰出金が減少していることが主な要因です。令和2年度は新型コロナウイルス感染症等の影響で財政調整基金を取り崩したことを主な要因とし、将来負担比率が上昇しましたが、令和3年度は基金の残高が回復したために、令和元年度と同程度の水準となりました。なお、下水道特別会計の償還が進んでいることから数値として見えにくくなっているものの、一般会計の地方債残高は増加傾向にあり、今後将来負担比率が悪化することも考えられます。また、有形固定資産減価償却率が一貫して上昇していることから、将来負担比率に表れていない潜在的な財政需要に備える必要があります。長期的な視点に立ち、毎年の収支を見直して、将来負担額に充当可能な基金残高を確保することが求められます。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

将来負担比率が概ね横這いなのに対し、実質公債費比率は一貫して増加傾向にあります。これは上述の通り、下水道特別会計の元金償還が進み、償還に充てていた一般会計からの繰出金が減少しているのに対し、一般会計の元利償還金が増加しているためです。将来負担比率においては、それらが打ち消しあうような形でおおよそ横ばいの動きを示していますが、実質公債費比率においては、下水道施設整備による起債の「準元利償還金に係る基準財政需要額算入額」が減少している影響が大きく、一貫した増加傾向を示しています。以上のことから、将来負担比率を悪化させないようにするためには、公共施設の統廃合の道筋をつけ、新規に発行する起債を抑制するとともに、毎年の支出を抑制し、将来負担額に充当可能な基金残高を確保する必要があります。

施設類型別ストック情報分析表①(2021年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

【道路】・【橋りょう・トンネル】は、それぞれ有形固定資産減価償却率は一貫して上昇しており、将来的な維持費用の増大が予見されます。一人当たりの道路延長は、類似団体平均と比較するとやや短いものの、全国平均や県平均と比較すると大きく上回っており、また橋りょう・トンネルの一人当たり有形固定資産(償却資産)額は類似団体平均を大きく上回っていることから、今後のインフラの老朽化が財政に与える影響は他市町村に比べても大きくなることが見込まれます。【認定こども園・幼稚園・保育所】【学校施設】は、平成26年度に小中一貫校の開校、平成28年度に認定こども園が開園したため、類似団地に比して減価償却率は著しく低くなっています。ただし、それぞれ町唯一の学校・園であるため、統廃合の余地はなく、建設から10年が経とうとするなかで、適切な維持・更新をしてくための費用を見込む必要があります。【公営住宅】は、有形固定資産減価償却率は類似団体に比べ高く、また年々その差が広がっていることから、老朽化の進行が顕著です。一人当たりの面積は類似団体に比べて小さいため、統廃合によるコスト削減の余地は少なく、適切な維持・更新をしてくための費用を見込む必要があります。【公民館】は、減価償却率は7割を超え、他の施設区分と比べても老朽化の影響が懸念されます。計画的な長寿命化対策等により、費用を抑えながら機能を維持していく必要があります。

施設類型別ストック情報分析表②(2021年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

【体育館・プール】一人当たりの面積が類似団体平均と比べても2倍以上大きいのが特徴的で、施設の規模縮小化を含め検討する必要があります。特に、カルチャーセンターやレジャープールのについては、毎年多額の設備更新費用が発生し、町債の借入額が増大する一因となっています。減価償却累計額も7割を超えているため、今後の方針を早期に決定する必要があります。【保健センター・保健所】類似団体と比べ有形固定資産減価償却累計額が高いですが、統廃合の余地は少ないと思われ、今後の維持費の増大を見込んだ財政運営が求められます。【庁舎】庁舎の古い部分は建築から50年以上が経過しており、耐震工事を除くと躯体の償却は限度額に達しています。後年度に建設された庁舎を併せても躯体の償却率は93%を超えており、建替えなどを検討し必要な財源を確保する必要があります。

財務書類に関する情報①(2021年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計等にいては、令和3年度時点で前年度から資産が482百万円減少(-1.11%)し、負債が143百万円増加(2.40%)している。資産については、毎年1%前後の減少傾向が見られるが、これは事業用資産の建物と、インフラの工作物の減価償却が進んでいることが主な要因となっている。ただし、令和3年度については、事業用資産の建物である旧湯沢小学校が解体されたという特徴的な減少要因がある。有形固定資産が減少基調にある一方で、年々ふるさと納税が伸長していることにより基金残高が増大するなどの好要因も見られる。もっとも、有形固定資産の減価償却額はそれを大きく上回るので、全体として資産は今後も減少していくことが予見される。施設の老朽化に備え、基金に積み立てるなどの長期的な視座に立った財政運営が求められる。負債については増加傾向にあり、令和2年度に会計年度任用職員制度が始まり退職手当引当金が増大するという特徴的な動きがあるものの、それを差し引いても地方債残高は増加し続けている。全体会計で見ると、負債はおよそ横這いとなっているが、これは下水道特別会計における地方債の償還が進んでいるにもかかわらず、それを一般会計の地方債残高の増加が打ち消しあっているためである。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

純行政コストは令和2年度において突出して増大しており、一般会計においては前年から約1,794百万円増大(約28%)している。このうち約半分は補助金等の移転費用によるものだが、これは新型コロナウィルス対策関連事業費の増大に伴うものだと考えられる。物件費等の業務費用の増加分を合わせると、約7割が新型コロナウイルス感染症対策の影響によるものであると考えられ、これらは一時的な上昇と考えられる。一方、会計年度任用職員制度が開始したことにより、退職手当引当金繰入金も増大しており、この影響は今後も一定の影響を残すものと考えられる。令和3年度も、令和元年度以前に比べ1,229百万円増と高い水準にある。令和2年度に比べ限定的ではあるものの、依然として補助金等の移転費用は高い状況が続いていて、新型コロナウイルス感染症の影響が表れている。これらが一時的な影響に留まり、今後元の水準まで戻るか注視していく必要がある。また、令和3年度においては、臨時損失として災害復旧事業費として63百万円、資産除売却損182百万円が計上されているが、これはそれぞれ令和元年度の台風により被災した古野蓬線の災害復旧事業、及び解体した旧湯沢小学校校舎がその主だった内容である。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

令和2年度において純行政コストが大きく増大し、純資産残高も大きく減少している。しかし、純行政コストが約1,794百万円増大したのに対し、その財源として国県等補助金も約1,091百万円と併せて増加しているため、純資産残高への影響は緩和されている。これは、新型コロナウイルス感染症対策の関連経費として国庫補助事業の影響が大きかったことを示している。令和3年度においてもその傾向は続き、令和元年度と比較し純行政コストが1,229百万円、財源として国県等補助金633百万円それぞれ増加している。また、これらの要素を排しても、純資産残高は年々減少する傾向にあり、特に一般会計においてその傾向は顕著にみられる。これは、公共施設やインフラが老朽化(減価償却)しているだけでなく、その更新にあたり、財源として地方債の割合が増加しているためであると考えられる。その要因として、現存する資産を形成する際に、地方債をあまり発行してこなかったことが挙げられる。かつては発電所やリゾートマンションの固定資産税収入により、起債の発行を抑制できていたものの、バブル期以降、税収は年々減少しており、投資的事業を行う際には起債により財源を確保せざるを得ない状況となっている。そのため、施設やインフラを更新するたびに資産に対する負債の割合が上昇し、純資産の減少が進む傾向がある。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

一般会計等においては、令和3年度時点でそれぞれ前年にくらべ業務活動収支は301百万円の増、投資活動収支は609百万円の減、財務活動収支は37百万円の増となっている。業務活動収支については、支出のうち移転費用支出が約489百万円の減となっていて、これは新型コロナウイルス感染症対策関連経費の減額によるものと考えられる。一方、令和元年度に比べると437百万円の増となっており、依然として新型コロナウイルス感染症の影響が見受けられる。投資活動収支については、主に基金による影響であり、令和2年度は新型コロナウイルス感染症対策事業のため大きく基金を取り崩した一方で、令和3年度は繰越金が増大した等の要因で基金積立金が増大したことによる。繰越金が増大した原因は、感染症の影響から事業が計画通り進まず予算の執行残が見られたことや、地方交付税の伸長などの影響が考えられる。財務活動収支については、地方債発行収入が増加したことが要因で、臨時財政対策債の発行額の増大などが要因として考えられる。全体会計で見ると、財務活動収支について、下水道事業会計における地方債の償還額が大きいことから、例年支出が収入を大きく上回る傾向があるが、令和3年度においては、下水道事業会計においても借入額が増大したため、収支の差額が限定的となっている。

財務書類に関する情報②(2021年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

①住民一人当たりの資産額については概ね横這いで推移しているが、類似団体と比較すると1.5倍以上の開きがあり、自治体規模に対し、資産額が大きいことが分かる。今後は、負債を増やしてまで同規模の資産を維持するのではなく、高めの純資産比率を維持し規模を縮小することを視野に財政運営を行う必要がある。②歳入額対資産比率を見ると、令和2年度に急激に減少しているが、これは歳入額が約20%上昇したことによるもので、新型コロナウイルス感染症対策のために国庫補助金等が増額したが、そのほとんどが補助費などの資産形成を伴わない支出にあてがわれたためと考えられる。類似団体も同様の傾向が見られるため、全国的な傾向と見られる。③有形固定資産減価償却率は年々増大しており、施設の老朽化が進んでいることが顕著である。類似団体平均値を下回っているが、その差は小さくなってきており、類似団体より早い速度で減価償却率が上昇している。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

④純資産比率は類似団体平均値と比べても常に15ポイント近く高く、これまで起債によらず資産形成を行ってきた当町の特徴が見て取れる。一方で、一貫して純資産比率は減少しており、当町の資産に対する負債の割合が確実に上昇していることが見て取れる。⑤将来世代負担比率も、類似団体平均値を大きく下回るものの、当町においては一貫して上昇傾向が見られる。このことから、類似団体と比較しても、負債の増加による影響が今後急激に表れることが予見され、地方債発行額の抑制や公共施設等の資産規模の見直しなど、今後の負債増加を見越した財政運営が必要となる。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

⑥住民一人あたりの行政コストは令和2年度に突出して高くなっており、令和3年度になってもあまり戻っていない傾向が見られる。類似団体の平均値も同様の動きとなっており、新型コロナウィルス感染症対策による全国的な影響と考えられるが、今後、この水準が恒常的なものとならないよう注視する必要がある。コロナ前後に関わらず、常に類似団体に比べ住民一人あたりの行政コストは高い傾向が見られる。これも公共施設等の維持管理費や減価償却費によるものと考えられ、施設の見直しによる行政コストの抑制が望まれる。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

住民一人当たりの負債額は類似団体と比較して低い状況であり、令和3年度時点で類似団体の約8割程度である。一方で、年々上昇傾向にあり、人口減少と負債額の増加が表れている。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

受益者負担比率は類似団体平均値よりも低い傾向にある。現存する公共施設の効率的・効果的な運用により、施設使用料収人を改善するなどの対応が考えられる。同時に施設維持に係るコストを広く共有することで、今後の公共施設あり方について検討を深めていくことが必要である。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,