経営の健全性・効率性について
①経常収支比率、②累積欠損金比率、③流動比率、⑤料金回収率、⑥給水原価については、平成26年度から適用されている会計基準に基づき算出されています。短期的な支払能力を表す③流動比率については、類似団体の平均値まで改善され、企業債残高の規模を表す④企業債残高対給水収益比率についても、数値が高くなっていますが、新規借入を抑制しているため、減少傾向となっています。また、有収水量1立法メートルあたりどれだけの費用がかかっているかを表す⑥給水原価が、類似団体平均より低く、それをどの程度料金収入で賄われているかを表す⑤料金回収率についても、100%を上回っており、複数年度にわたって累積した損失である②累積欠損金比率が、0%であることから経営の健全性は、類似団体より良好な状態であると考えています。施設の利用状況等を判断する⑦施設利用率は、類似団体平均より低いものの、施設の稼働が収益につながっているかを判断する⑧有収率については、類似団体に比べて高い約94%を維持しています。このことから、漏水が少なく水道施設や給水装置を通して給水される水量が類似団体に比べて効率よく収益化されています。
老朽化の状況について
施設全体の老朽化の度合いを示す①有形固定資産減価償却率及び管路の老朽化の度合い示す②管路経年化率は類似団体平均値を下回っておりますが、経年比較すると年々、数値が上昇しており、施設、管路ともに老朽化が進んでいると言えます。また、管路経年化率と関係性の高い③管路更新率については、更新延長が伸びず、前年度より0.2ポイント近く低い数値となりました。平成27年度については、配水管整備事業のうち「徳島市水道施設耐震化計画」の中核を形成する配水場相互連絡管や重要給水施設配水管など多額の費用を要する基幹管路を重点的に施工したため、一時的に数値が低下したものです。
全体総括
平成22年4月に料金改定を行って以降、一定の収益が確保でき経営の健全性は比較的保たれているものの、過去の施設整備において財源の多くを企業債に依存してきたことから、「企業債残高対給水収益比率」が類似団体と比較して非常に高い状況となっていることや、「管路更新率」が低水準であるため「管路経年化率」が悪化していることなどの課題を抱えています。このため計画的に借入額を縮減し、企業債残高の削減に努めながら、施設の統廃合やダウンサイジングを考慮した計画的な施設の更新・耐震化を進めています。しかし給水収益が減少傾向を示す厳しい経営環境であることから、経営健全化策を盛り込んだ中長期的な経営戦略を早期に策定したいと考えています。