地域において担っている役割
町立中標津病院は、根室北部地域の中核病院として「安全で安心・やすらぎを得られる病院」を基本理念として、地域の住民からの期待に応えるべく、良質な医療の提供に努めている。平成11年(1999年)現在の地に新築移転をし、根室第二次保健医療福祉圏の地域センター病院として地域において必要な医療提供体制の確保を図り、救急・小児・周産期・災害などの不採算医療や急性期医療を提供するという重要な役割を担っている。
経営の健全性・効率性について
令和2年から経営コンサルタントの支援を受け、経営改革の取り組みを行った結果、病床利用率の向上や患者1人当たりの収入単価の増加により、医業収益の改善が図られた。しかし、未だ赤字の状態を脱することが出来ず、累積欠損金比率は、前年度に比べ減少しているものの、全国平均及び類似病院の平均と比較すると、高い水準で推移している。費用の面では、コロナ対策のため、マスクやゴーグル、エプロン等の個人防護具や消毒液などの材料消費が大幅に増加し、材料費対医業収益比率が悪化しているが、材料の適正管理や単価交渉を進めることで縮減を図る必要がある。
老朽化の状況について
平成11年(1999年)に新築移転した際には一般病床220床の許可を受けていたが、現在の許可病床数は173床となっており、施設の規模に対して許可病床数が少ないことで、一床当り有形固定資産額が高い状況となっている。一方で、病院移転から21年が経過し施設の老朽化が進んでおり、器械についても、経営状況を鑑みて必要最低限の機器更新しかできていなかったことで、老朽化度合が進んでいる。3つの比率を適正な状態にするためには、休床している病床の再稼働など、既存設備の有効活用を模索しながら、計画的な機器更新を行っていく必要がある。
全体総括
令和2年度から経営コンサルタントによる支援を受けながら経営改革の取り組みを行っており、入院患者数及び医業収益が増加したことで、各指標に改善が見られるが、未だ類似団体・全国平均との乖離がある。また、施設・機器の老朽化が進行しており、今後は固定資産の計画的な更新も必要となる。今後も経営コンサルタントを活用した経営改善を引続き行い、更なる収支改善を図ることで、安全で安心・やすらぎを得られる医療サービスの提供に努めていく。