地域において担っている役割
当院は、人間愛を基本として、町民のいのちと健康と生活を守り、保健・医療・福祉活動の拠点として、町づくりに貢献し、町民が誇れる病院を目指すことを基本理念としています。通常の入院外来診療はもとより、週5回の訪問診察や訪問リハ、通所リハビリテーション等に積極的に取組んでいます。訪問看護ステーションは、訪問診察との連携の強化を図り24時間体制で行っています。さらに町立病院として行政との連携を図りながら保健事業、介護事業などの関わりやテレビ会議を利用した住民向けの健康指導も行っています。また、救急告示病院として、夜間・休日等も宿日直医師及び看護師を配置し、救急患者への対応を行っています。
経営の健全性・効率性について
当院の①経常収支比率は100%以下となっており、全国及び類似病院平均値を下回った。また、昨年度と比較して2.5pt減少した。②医業収支比率はR3年度まで類似病院平均値を上回っていたが、R4年度に引き続きR5年度は下回った。昨年度と比較して0.3pt増加したが、数値は年々減少傾向であり、医業収益が減少する反面、医業費用は増加していると考えられる。④病床利用率はコロナ禍以降下がり続けたが、R5年度は昨年度と比較して6.2pt改善し、類似病院平均値を上回った。新型コロナウイルス感染症が5類感染症へ移行し、通常の体制に戻ったことが大きく影響したと考えられる。⑤入院患者1人1日当たり収益は昨年度と比較して326円増加した。入院患者数とともに増加しており経営にとってプラス要素である。⑥外来患者1人1日当たり収益は585円減少した。⑦職員給与費対医業収益比率はR4年度まで増加が続いたが、R5年度は1.7pt減少し、類似病院平均値を下回った。⑨累積欠損金比率は、大きな赤字決算をしたため、昨年度と比較して9.3pt増加した。
老朽化の状況について
当院の①有形固定資産減価償却率は類似病院平均値を下回っている。R5年度は昨年度と比較して2.1pt増加した。今後は、長期的な視点を持って、施設及び設備の長寿命化や更新などを計画的に行う必要がある。②機械備品減価償却率では、全国平均値及び類似病院平均値を上回っている。R4年度に電子カルテを更新したことにより、昨年度と比較して3.1pt増加した。今後、放射線機器及び空調等の設備機器の更新について検討を行う必要があり、それぞれの機器の優先度と経営状況を判断しながら計画的に更新を行う必要がある。③1床当たり有形固定資産について、類似病院平均値を上回っているのは、平成16年度の現病院開院時に160床あった病床を平成25年度に110床に減床したことが要因となっている。
全体総括
令和5年度は、新型コロナウイルス感染症が5類感染症へ移行しましたが、入院患者、外来患者ともにコロナ禍前の人数までは回復しなかったこと、更にコロナ関連の補助金がなくなり、結果として厳しい経営となりました。新規の取組としては、「レスパイト入院」を始めました。ご自宅で介護にあたっておられるご家族が病気、冠婚葬祭、旅行等で一時的に在宅介護が困難になる場合に、介護を必要とする方が当院に入院していただくことができるサービスで、令和5年度は28件の利用がありました。今後も、地域住民のニーズの把握に努め、地域住民の身近で頼りになる病院を目指すとともに、経営の効率化を図り、収支改善に取り組みます。