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地方財政ダッシュボード

岩手県住田町の財政状況(2021年度)

🏠住田町

地方公営企業の一覧

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収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2021年度)

財政力指数の分析欄

【類似団体比】-0.17【前年度比】-0.01人口減少と高い高齢化率(令和3年10月1日現在:46.00%)を背景に、町内に経済効果の高い主力産業がなく、財政基盤が脆弱である。類似団体平均を約0.2pt下回る結果を改善するため、今後も人口増加対策と併せて、経済効果を生む産業振興施策を模索しながら、歳入の確保に努めることが求められる。

経常収支比率の分析欄

【類似団体比】-2.7【前年度比】-6.4《分母(経常一般財源総額等)》地方税の減(対前年度-4,394千円)等に対し、普通交付税の増(対前年度+239,760千円)や臨時財政対策債(対前年度+23,875千円)の増、新型コロナウイルス感染症対策地方税減収補填特別交付金の増(対前年度+7,817千円)により、結果として対前年度+281,652千円となった。《分子(経常経費充当一般財源)》扶助費の減(対前年度-14,284千円)及び物件費の減(対前年度-11,428千円)等に対し、公債費の増(対前年度+48,163千円)や補助費の増(対前年度+7,923千円)等により、経常経費充当一般財源は対前年度+13,705千円となった。《経常収支比率》分子である経常経費充当一般財源が対前年度+13,705千円の2,862,240千円であったのに対し、分母である臨時財政対策債を含む経常一般財源総額等が対前年度+281,652千円の3,584,866千円となったため、経常収支比率は対前年度-6.4%の79.8%となった。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

物件費(-56,575千円)、人件費(-10,794千円)、維持補修費(-37,080千円)の減及び人口(-167人)の減により、人口1人当たり人件費・物件費等決算額は8,020円減少した。物件費減の要因は、食べて(使って)応援住田チケット発行等業務委託料21,391千円、橋りょう点検業務委託料16,207千円、学習用情報教育機器購入費(小中学校)23,903千円、町営住宅浄化槽解体工事費5,062千円の減が主なものである。人件費減の要因は任期の定めのない常勤職員数減による基本給及びその他手当20,894千円の減が主なものである。

ラスパイレス指数の分析欄

【類似団体比】-1.1【前年度比】0前年度から横ばいであり、類似団体平均より1.1pt下回っている。これは、指数の算出において、経験年数階層内における職員分布の変動に起因するものと推測される。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

【類似団体比】+5.94【前年度比】+0.65前年度からほぼ横ばいの変化である。1,000人当たりの職員数は類似団体に比べて高い傾向である。定員適正化計画における目標職員数については、適正人数となっているが、今後も業務の効率化を図りながら、適正な職員数の維持に努めていく必要がある。

実質公債費比率の分析欄

当該比率は3年間の平均値であり、前年度比0.6pt減少の9.0%となった。なお、単年度比率を過去の数値と比較すると、3年前の平成30年度比では、1.6ptの減となっており、主な要因は普通交付税額の増及び基準財政需要額の減である。

将来負担比率の分析欄

将来負担額より充当可能財源等が多かったため、分子がマイナスとなり比率は生じなかった。地方債現在高の減により将来負担額が減少し、マイナスの比率は前年度比-11.5ptの-93.6となった。《分子》前年度比-529,303千円将来負担額のうち地方債の現在高(-388,450千円)の減、将来負担額から控除する充当可能財源等(マイナス分)の公債費(+394,233千円)、充当可能基金(+363,945千円)等の増により、分子全体で529,303千円の減となった。《分母》前年度比+235,414千円標準財政規模は、標準税収入額等(-11,756千円)、普通交付税(+239,760千円)、臨時財政対策債(+23,875千円)により251,879千円の増となった。また、標準財政規模から控除する算入公債費等の額(+16,465千円)も増となり、分母全体で235,414千円の増となった。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2021年度)

人件費の分析欄

【類似団体比】+0.6【前年度比】-2.5人件費に係る経常収支比率は、前年度に比べ2.5pt減少している。類似団体と比較するとほぼ近似の傾向にある。経常的な人件費については、前年度から11,396千円の減となっている。これは、任期の定めのない常勤職員数減による基本給及びその他手当の減に起因するものと分析される。やや減少の傾向が伺えるも、今後の財政状況を勘案した際に、一層の業務の効率化や適正な職員数の管理を行い、人件費の抑制に努めていく必要がある。

物件費の分析欄

【類似団体比】-1.8【前年度比】-1.3前年度と比べ1.3pt減少している。物件費全体では、学習用情報教育機器購入費(小中学校)23,903千円の減などにより56,575千円の減となり、経常収支比率が減少する結果となった。今後は、各種システムの維持費用等経常的に必要な費用も多くなることが予測されることから、よりコストを意識した行政運営が求められる。

扶助費の分析欄

【類似団体比】-1.0【前年度比】-0.7扶助費の経常経費については、老人保護措置費(-4,356千円)等の減により、全体で-16,476千円となった。

その他の分析欄

【類似団体比】-3.7【前年度比】-0.8繰出金の経常経費が-6,316千円となったことや、分母である経常一般財源等の普通交付税や臨時財政対策債等が増となったことが影響して-0.8ptとなった。

補助費等の分析欄

【類似団体比】-1.4【前年度比】-0.8前年度から-0.8pt減少する結果となった。これは、分子である公営企業会計(下水道事業会計)への繰出金等の増により一般財源による経常経費は増となったものの、分母である経常一般財源等の普通交付税や臨時財政対策債等がそれを上回る増となったことによるものと分析される。

公債費の分析欄

【類似団体比】+4.6【前年度比】-0.3公債費全体で44,783千円の増となった。要因としては公営住宅建設事業債(元金)3,397千円の減等に対し、過疎対策事業債(元利)23,118千円、緊急防災・減災事業債(元金)23,094千円の増等によるものと分析される。減となったが、類似団体に比べると依然として高い状態であることが伺える。計画的な事業の実施を図りながら、安定した財政運営に努めていく必要がある。

公債費以外の分析欄

【類似団体比】-7.3【前年度比】-6.1比率の算定の分子に計上する経常経費に係る一般財源等から公債費分を除いた額が前年度比-34,458千円となったことや、分母に計上の経常一般財源等が+281,652千円となったことから経常収支比率は6.1ptの低下となった。公債費以外については、類似団体平均と比べ低い傾向にあるが、扶助費等は高齢化率の上昇等により増減しやすいものであるため、総合戦略等に基づいた事業の見直し等を通して、町財政全体の費用の抑制に努める必要がある。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2021年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

議会費については、人口規模に対して議員数が多い傾向にあることから、類似団体と比べて3,780円高くなっている。その他の経費では類似団体と近しいものが多い状況となっている。令和3年度決算においては、総務費、農林水産業費、土木費、教育費で大きな増加があった。総務費については、特別定額給付金給付事業532,889千円の減が主な要因と考えられる。農林水産業費については、畜産競争力強化整備事業費補助金で418,987千円の支出があったことが大きな要因であり、そのほか森林資源解析業務委託料9,834千円の増、FSCの森整備事業費補助金6,584千円の増等も要因と考えられる。土木費においては、前年度の町営住宅(火石・清水沢)新築工事165,409千円の減が主な要因と考えられる。教育費については、前年度の上有住地区公民館整備事業258,841千円、学校ICT環境整備事業56,457千円等の減が要因となったものと分析される。消防費において平成29の費用が大きくなっている点は大船渡消防署住田分署建設費用の増によりコストが増加しているものである。公債費については、類似団体と比べて61,368千円高い状況となっている。これは平成28から類似団体区分の変更により、比較団体に過疎地域の指定を受けていない団体が多く含まれたため、過疎債に係る元利償還金の差が出たものと考えられる。また、平成26に実施したすみた荘(特別養護老人ホーム)建設事業に係る公債費の元金償還が本格的に開始されたことにより、平成30以降の公債費が大きく増加したものである。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2021年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

歳出決算総額は、住民一人当たり1,093千円(前年度比-11千円)となっている。主な構成項目のうち、人件費については、5年間の推移を見ると上昇傾向にある。人口が減少傾向であることに対し、各種事業実施に伴う会計年度任用職員関連経費の増が主な要因である。補助費についても5年間の推移を見ると上昇傾向にあるが、これは新型コロナウイルス対策関連事業によるものが主な要因である。なお、今年度の補助費が類似団体と比較し高い状態にあるのは畜産競争力強化整備事業費補助金の増が主な要因である。普通建設事業費(新規整備)については前年度比でやや減少しているが、これは前年度実施した上有住地区公民館新築工事及び町営住宅新築事業に係る費用が減となったことが主な要因である。公債費については、類似団体と比べて61,368千円高い状況となっている。これは平成28から類似団体区分の変更により、比較団体に過疎地域の指定を受けていない団体が多く含まれたため、過疎債に係る元利償還金の差が出たものと推測される。また、平成26に実施したすみた荘(特別養護老人ホーム)建設事業に係る公債費の元金償還が本格的に開始されたことにより、平成30以降の公債費が大きく増加したことも影響しているものと考えられる。全体として、新型コロナウイルス対策関連に伴う事業実施等により大きく増となった前年と比較して歳出決算総額は-248,876千円となり、決算総額に対する住民一人当たりのコストは前年度比-11千円となった。

実質収支比率等に係る経年分析(2021年度)

分析欄

多額の一般財源を要する大型事業がないため、基金の取り崩しがなく、H28まで計画的に積立を実施してたが、その後、R01を除いては財政調整基金への積立は行っていないため、財政調整基金残高に係る標準財政規模比は徐々に減少している。なお、R01では新型コロナウイルス感染症感染拡大等の不測の事態に備え積立を行った。実質単年度収支についても、前年度比で4.3pt下がり-2.6%となっているが、これは事業の繰り越しにより翌年度へ繰り越すべき財源が例年より多額であったことが要因である。なお、翌年度は当該財源を特目基金からの取り崩しにより対応する予定である。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2021年度)

分析欄

いずれの会計も赤字額は生じていない。一般会計では、各年度の事業等の動向により、対標準財政規模比にある程度の振れ幅はあるものの、3~8%の間で推移しており、概ね適正な収支となっている。国民健康保険については、保険給付費が年々増加傾向であることや広域化に対応するため、H30に税率の改正をしており、健全な財政運営に努めている。全体では、少子高齢化や人口減少などにより、各特別会計の運営が厳しくなると予想されるため、保険税、保険料、料金の定期的な見直しや経費の削減等を進め、健全な財政運営に努める必要がある。

実質公債費比率(分子)の構造(2021年度)

分析欄

H28までは過去に実施した大規模事業の償還終了に伴い、元利償還金が減少傾向であった。H30以降、H26に実施したすみた荘(特別養護老人ホーム)建設事業に係る起債の償還が本格的に開始となり、実質公債費比率が増加した。また、今年度は住田分署建設等に係る元金償還が本格化したため、元利償還金が増加した。公営企業債の元利償還金に対する繰入金は、H28からR01に起債した公営企業適用債の償還により増加傾向であったが、今年度は準元利償還金額(4条分)が減額となったため前年度比で-48百万円となった。算入公債費等は、臨時財政対策債や過疎対策事業債など、依然として交付税算入率の高い起債を活用していることから、元利償還費等に対する割合は、高い水準を維持している。

将来負担比率(分子)の構造(2021年度)

分析欄

公営企業債や一部事務組合への地方債償還に対する繰出金見込額は減少を続けており、一般会計等に係る地方債の現在高も減少傾向にある。R03の将来負担額については、過疎債や臨時財政対策債、緊急防災・減災事業債の減等により地方債の現在高が減少したことから、R02から減少している。充当可能財源等については、充当可能基金、充当可能特定歳入は増加したが、基準財政需要額算入見込額が減少したことにより、前年度に比べ48百万円の減となった。将来負担比率の分子については、充当可能財源の減よりも、将来負担額の減が上回ったことから、529百万円の低下となった。

基金残高に係る経年分析(2021年度)

基金全体

(増減理由)R03の主な増減は、減債基金151百万円の増、その他特定目的基金の地域情報通信基盤施設整備基金187百万円の増、まちづくり応援基金19百万円の増、ふるさとの森林づくり基金2百万円の増、東日本大震災復興基金10千円の減である。基金残高のうち最も割合の高い財政調整基金については取り崩しはなかった。減債基金については、今後の地方債の償還に充当するため、151百万円の積み立てを実施した。(今後の方針)H30~R03に積み立てを実施した地域情報通信基盤施設整備基金の対象施設は、H19に約10億円の事業費で町内全域を対象に整備した通信施設であり、各種機器の更新時期を迎えようとしている。更新計画に基づき、基金を取り崩して事業を実施する予定としている。また、地域情報通信基盤施設整備基金の残高だけでは、更新費用の確保が難しい場合には、財政調整基金の取り崩しも想定している。減債基金については、H29からすみた荘(特別養護老人ホーム)建設事業に係る元利償還が開始となり、更にR03から大船渡消防署住田分署建設等のハード事業に係る元利償還が本格化したことから、今後は取り崩しも想定している。

財政調整基金

(増減理由)R01は100百万円の積み立てしたが、R02、R03は積み立てをしていない。残高が増加したのは財産運用収入によるものである。(今後の方針)公共施設の老朽化に係る維持補修費、地域情報通信基盤施設の更新費用の財源として、財政調整基金の取崩しを見込んでいる。

減債基金

(増減理由)今後の地方債の償還に充当するため、151百万円の積み立てを実施した。(今後の方針)H29からすみた荘(特別養護老人ホーム)建設事業に係る元利償還が開始となり、更にR03から大船渡消防署住田分署建設等のハード事業に係る元利償還が本格化したことから、今後は取り崩しも想定している。

その他特定目的基金

(基金の使途)主な基金の使途は下記のとおり。地域情報通信基盤施設整備基金は、同施設の更新費用の財源としている。東日本大震災復興基金は、寄附金を原資としており、東日本大震災からの復興関連事業に係る費用の財源としている。福祉基金は、子育て・少子化対策、高齢化対策、障がい者施策の財源としている。まちづくり応援基金はふるさと納税による寄付金を原資としており、まちづくり事業に係る費用の財源としている。ふるさとの森林づくり基金は、オフセット・クレジットによる収入を原資としており、森林整備事業の財源としている。(増減理由)地域情報通信基盤施設整備基金は、施設更新費用を確保するために積み立てたことによる247百万円の増、設備更新などの関連事業に充当するために取崩した61百万円の減により、全体で187百万円の増になった。まちづくり応援基金は、ふるさと納税を積み立てたことによる36百万円の増、住民活動支援交付金事業に充当するため取崩した17百万円の減により、全体で19百万円の増となった。東日本大震災復興基金は、東日本大震災復興支援関連事業に充当するため10百万円を取崩した。ふるさとの森林づくり基金は、オフセット・クレジットによる収入2百万円を積み立てた。(今後の方針)地域情報通信基盤施設整備基金は、施設の更新計画に基づき、必要に応じて積み立てを行う予定としている。東日本大震災復興基金は、復興関連事業等に係る費用に充当するため、減少していく見込みである。まちづくり応援基金はふるさと納税が年々増加していることから、必要に応じて積み立てと取り崩しを行う予定としている。ふるさとの森林づくり基金は、森林整備に充当される見込みである。福祉基金は、果実運用基金であるため、大きな増減は想定されない。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2021年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

保育所や公営住宅、児童館、福祉施設は類似団体平均を上回っている。一方、庁舎及び消防施設は類似団体平均を大きく下回っている。また、有形固定資産全体の資産額のうち80.7%を占める道路が、類似平均団体平均を4.9ポイント下回っていることから、有形固定資産全体の減価償却率は、類似団体平均より1.8ポイント下回る結果となった。公共施設等総合管理計画等により、今後も適正な維持管理がなされる見込みである。

債務償還比率の分析欄

債務償還比率は類似団体平均を下回っている。将来負担額に対して充当可能基金残高の割合が高く、類似団体と比べて計算式の分子(将来負担額-充当可能財源)が小さくなったことが主な要因と考えられる。昨年度より債務償還比率が減少した要因は、債務償還比率計算式の分子(将来負担額ー充当可能財源)が昨年度と比べ520,303千円減少したことが主な要因であると考えられる。地方債現在高は消防施設や老人福祉施設の新築事業にかかる償還により、今後も高止まりの状況となる見込みである。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

将来負担額より充当可能財源が多いため将来負担比率は生じていない。有形固定資産減価償却率は、類似団体平均を下回っている。今後は公共施設個別計画等を基に、計画的な公共施設の管理、運用が必要となる。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

将来負担額より充当可能財源が多いため将来負担率は生じていない。実質公債費比率は、公債の償還が進んだことにより昨年度より0.6ポイントの減少となった。

施設類型別ストック情報分析表①(2021年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

公営住宅、保育所、学校施設及び児童館が、類似団体と比較して特に減価償却率が高くなっている。保育所については、減価償却率が類似団体平均を30.5ポイント上回っているが、改修や増築をしながら施設の維持を図っている。学校施設においては町内4校を改修することにより長寿命化を図ってきたが、今後児童数減少による学校の統廃合も視野に入れながら改修や更新について検討を重ねていく必要がある。児童館についても建築から20年以上が経過しており、学校施設の更新等と合わせて検討が必要である。公営住宅については、減価償却率が類似団体平均を21.9ポイント上回っているが、改修や修繕をしながら施設の維持を図っているため、横ばいで推移している。

施設類型別ストック情報分析表②(2021年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

福祉施設、消防施設、庁舎の減価償却率が類似団体平均と比べ大きく離れている。福祉施設については、減価償却率が9割を超える状況が継続しており、類似団体平均を36.1ポイント上回っている。昨年度より減価償却率が減少した要因は、平成9年に建設した高齢者生活福祉センターにおいてエアコンの更新工事が行われたことである。庁舎については減価償却率が類似団体平均より29ポイント下回っているが、これは平成26年度に庁舎を建て替えたことによるものである。消防施設に関しても、平成28年度に大船渡消防署住田分署を建て替えたことにより、類似団体平均より減価償却率が低くなっている。

財務書類に関する情報①(2021年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計等においては、資産総額が1,544百万円の減少(▲2.61%)となった。金額の変動が大きいものはインフラ資産である。インフラ資産の中でも工作物減価償却累計額の変動が最も大きく、1,388百万円の増加(+3.15%)となっており、工作物の新規取得額を大きく上回ったことから、インフラ資産全体で1,289百万円の減少(4.36%)となった。負債については固定負債が431百万円の減少(▲7.02%)、流動負債が450百万円(▲37.22%)減少となり、負債全体で881百万円の減少(▲11.99%)となった。負債が減少した要因は、地方債の償還が進み、地方債残高が減少したことである。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

一般会計等については、経常費用が6,002百万円(▲3.71%)、経常収益が108百万円(▲77.41%)となっており、5,894百万円費用が上回っている。経常費用の内訳は業務費用が4,138百万円、移転費用が1,863百万円となっており、業務費用が経常費用全体の68.9%を占めている。業務費用の中で最も金額が大きい物は、物件費等のうち、減価償却費の1,805百万円となっている。前年度と比較して大きく変動した項目はなく、物件費等が多くを占めている状況が続いているため、人口規模にあった公共施設の整備に努め、将来負担費用の軽減に努める必要がある。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

一般会計等においては、税収等の財源4,859百万円が、純行政コスト5,893百万円を下回ったことから、本年度の純資産変動額は663百万円の減少となった。純行政コストのなかで、最も金額が多いのは過去に整備した公共施設等にかかる減価償却費であるため、将来負担軽減のための計画等を策定する必要がある。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

一般会計等においては、業務活動収支は946百万円の黒字であり、前年度と比べると446百万円の増加(+89.20%)となった。業務支出が全体で241百万円減少(▲5.49%)したことに加え、業務収入が全体で195百万円の増加(+3.98%)したことが要因である。業務収入の増加の要因は税収等収入295百万円の増加(8.61%)である。地方交付税が昨年度と比べ262百万円の増加(+9.9%)したことが税収等収入増加の要因であると考えられる。投資活動収支は、前年度より100百万円減少し▲493百万円となった。これは、昨年度に比べて、投資活動収入の国県等補助金収入(▲30百万円)、基金取崩収入(107百万円)の減少が要因である。財務活動収支については昨年度より355百万円の減少となった。財務活動収入の地方債発行等収入が305百万円(▲48.96%)減少したことが一番の要因である。特別会計、一部事務組合等を含めた連結では、業務活動収支が前年度比+360百万円の1,073百万円、投資活動収支が前年度比187百万円の▲529百万円、財務活動収支が前年度比▲282百万円の422百万円となった。

財務書類に関する情報②(2021年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

住民一人当たりの資産額が類似団体の平均値より著しく高くなっている。これは、立木竹、インフラ資産の工作物が人口規模に対して高額となっているためである。特に、立木竹の資産額は15,630百万円であり、住民一人当たり試算で換算すると資産額は約3百万円であり、森林整備に力を入れている当町の実態が見て取れる。インフラ資産額は28,269百万円となっており、人口規模に対して資産額が大きい状態が続いている。歳入額対資産比率についても類似団体を上回っている。これは前述した資産額が大きいことに起因したものである。また、数値も昨年度とほぼ横ばいとなった。有形固定資産減価償却率は、類似団体平均とほぼ同様の結果となった。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

純資産比率は、類似平均団体を上回っているが、純行政コストが財源を上回っていることから純資産が663百万円減少し、前年度末から1.28%減少している。純資産の減少は、将来世代が利用可能な資源を過去及び現世代が浪費して利益を享受したことを意味するため、公共施設の効率的な維持管理について検討し、計画的に実施する必要がある。将来世代負担比率は、類似団体を下回っているが、新規に発行する地方債が増えると将来世代負担率が増加するため地方債の新規発行を抑え、有利な財源を確保することが重要である。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

住民一人当たりの行政コストは、類似団体平均を上回っている。特に行政コスト経常費用で金額が大きい減価償却費が、住民一人当たりの行政コストを高めている要因の一つである。加えて人口減少も続いており、人口規模に合った施設の整備や維持管理に努める必要がある。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

住民一人当たりの負債額も昨年度から類似団体平均より高い状態が継続している。ただし、昨年度よりは減少してきており、原因としては平成26年から平成28年度に行われた事業の町債等により、昨年度まで増加していた地方債残高が減少したことにより、負債が減少した。今後も償還が継続されるため一人当たりの負債額は減少していくことが予測されるが、人口の減少が近年顕著となっているため、住民が大きく減少すれば、住民一人当たりの負債額も増加する可能性がある。基礎的財政収支は、業務活動収支の黒字分(963百万円)が投資活動収支の赤字分(142百万円)を上回ったため、821百万円の黒字となっている。類似団体を上回った要因として業務活動収支の税収等収入が増加したことに加え、投資活動収支の公共施設等整備支出が減少したことによると思われる。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

受益者負担比率は、類似団体平均値を大きく下回っており、行政サービスに対する直接的な負担は低い状態が続いている。人口の減少は依然続いており、経常収益はすでに増加が見込めない状況であることから、人口規模にあった施設の整備や維持管理によって、経常経費の削減に努める必要がある。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,