経営の健全性・効率性について
平成30年度から地方公営企業法を適用することで平成29年度が打切決算となったため、従前の出納整理期間(5月末まで)が無く、使用料収入が約1割減となった。これに起因して算出に収入が関係する①・④・⑤の指標は表面的に悪化している。①収益的収支比率(地方債償還元金を加えた総費用が使用料収入や一般会計からの繰入金等の総収益でどの程度賄えているかを表す指標)は、48.58%で前年度比7.45%減となり、厳しい収支状況が続いている。④企業債残高対事業規模比率も打切決算に伴う影響で前年度比で55.15%上昇したが、借入残高は類似団体に比して多いものの減少を続けている。今後も借り入れを抑制し、償還を進めることで改善に努める必要がある。⑤経費回収率、⑥汚水処理原価については、人口動態等を反映して使用料収入・有収水量が伸び悩んでおり、汚水処理費を十分に賄うことが出来ない状況が続いているため、経費節減に努めつつ、使用料改定などの財源確保も検討する必要がある。⑧水洗化率については、96.72%と類似団体平均を大きく上回っているが、未接続世帯に対しては戸別訪問や啓発文書の送付などによる粘り強い接続勧奨に取り組んでいく。
老朽化の状況について
一部の下水道管が布設後31年を迎えたが、大部分の管路は耐用年数(50年)の面で問題の無い状況にある。現在は、供用開始から10年以上が経過した汚水管の洗浄や、重要な幹線管渠のカメラ調査による点検を行うなどの維持管理に努めており、事故防止対策の点からも継続的に取り組んでいく。一方、処理区域内にある9基のマンホールポンプが耐用年数に達し、定期的な点検・診断のほか、状況に応じて更新していく必要がある。また、皮革前処理場においては、生汚泥搬送による処理方式への変更により関係設備を更新し、熱処理設備など大規模な施設更新は回避したものの、未更新の機械・電気設備等の老朽化・劣化は進んでおり、計画的な維持補修・更新とその財源確保が今後の課題である。
全体総括
汚水管渠の大量更新期の到来に備え、将来にわたり安定的に事業を運営するための財源確保が必要であるが、地方債償還金や流域下水道事業にかかる負担金など固定的・義務的な経費が大半を占める一方、使用料収入が低迷し、一般会計繰入金に依存する厳しい財政状況が続いている。今後は、町内の浸水危険箇所の解消に向けた雨水対策事業への取り組みが急務となっており、早期に事業着手する必要があるが、投資経費の平準化とともに収益環境の改善に向けた使用料改定の検討と経費の節減に取り組む必要がある。また、平成30年4月より下水道事業に地方公営企業法を適用し、企業会計における財務諸表等により経営成績や財政の状況が分析・把握できるようになったため、経営基盤の強化や財政マネジメントの向上を図り今後の健全経営につなげていく。