経営の健全性・効率性について
高水準で推移する地方債の元利償還負担や皮革前処理場の維持管理費負担が影響し、過去5年間における①収益的収支比率、④企業債残高対事業規模比率、⑤経費回収率、⑥汚水処理原価は類似団体や全国平均の水準を満たすことが出来ず、厳しい財政状況が続いている。これらは、下水道整備を短期間に集中して実施したことにより起債額が急増したことや、都市計画税を賦課していないことなどが主な要因である。平成27年度の①収益的収支比率が前年度よりも悪化した理由として、資本費平準化債を130,000千円増額発行したことにより、指標の計算に用いる営業外収益(他会計繰入金)が大幅な減となったことが挙げられる。今後は、下水道整備の初期に発行した地方債の償還が平成32年度以降より順次終了するため、次第に指標は改善する見通しである。一方、⑧水洗化率については、下水道未接続の世帯に啓発文書を送付するなどの取り組みにより96.60%と類似団体平均を大きく上回っている状況である。
老朽化の状況について
管渠の老朽化の状況として、布設後約30年が経過したものが最古であることから、耐用年数の期間内のため、現時点では問題は無いと言える。現在は、管渠の洗浄作業及び、カメラ調査を実施するなど、適正な維持管理に努めており、今後も下水管の機能(流下能力)を確保し、管閉塞等の事故を未然に防止するため、継続して実施する必要がある。しかし、町内9箇所に設置しているマンホールポンプについては、今後6年間のうちに耐用年数の15年を順次迎えるため、定期点検の結果に留意しつつ計画的に更新しなければならない。
全体総括
今後は集中豪雨等に備えて雨水幹線等の整備を推進する予定だが、地方債償還に対する一般会計繰入金への依存割合が高い状況から、早期にストックマネジメント計画を策定し、投資経費の平準化や地方債の発行抑制、財源確保に向けた使用料改定等を図る必要がある。また、皮革前処理場では、施設の老朽化対策の一環として、汚泥の処理方法を脱水・乾燥方式から生汚泥搬送方式に見直し、平成27年度に設備整備に着手、平成28年度から処理を開始することで熱処理設備等の更新を回避する取り組みを進めている。今後は、平成30年度からの公営企業法の適用を目指すとともに「経営戦略」を策定し、経営基盤の強化や財政マネジメントの向上など健全経営を図る。