地域において担っている役割
本院は、幅広い疾患に対して効率的な医療を提供する急性期病院の役割を担うとともに、北河内唯一の市立病院として、救急医療や災害時医療、小児・周産期医療などの政策的な医療を担っている。また、第2種感染症指定医療機関として、多くの新型コロナウイルス感染症の患者を受け入れるなど地域の感染症医療の中心的な役割を担うとともに、地域医療支援病院として、地域の診療所(かかりつけ医)との医療連携の中核を担う病院としても取り組んでいる。
経営の健全性・効率性について
医業収支については、医業収益で新型コロナウイルス感染症による受診控えが解消されてきたこと等により、入院・外来ともに患者数が増加し、約8億1,544万増の約90億7,876万となった。医業費用は新型コロナウイルス感染症の検査試薬や抗がん剤の購入などによる材料費の増加や、診療体制充実のための職員数増加による給与費の増加などに伴い約1億7,978万増の約101億700万円となった。これにより医業収支は約10億2,824万の支出超過となったものの、昨年度から約6億3,567万円改善したため、医業収支比率は大幅に改善している。経常収支については、新型コロナウイルス感染症患者の受入れ病床確保のための空床補償など国府からの補助金が増加したことにより医業外収益が約3億2,479万円増加し、経常収支は約6億912万円の収入超過となり、経常収支比率は大きく改善している。入院及び外来患者1人1日当たり収益については、専門性の高い治療を必要とする患者の割合やコロナ関連の検査などが増えたことで、診療単価は増加している。
老朽化の状況について
当院は平成26年9月に開院し、令和3年度で開院8年目となった。現在のところ施設に大きな老朽化は見られないが、24時間稼働していることから、施設更新計画を踏まえ、現状に合わせて計画的に修繕・改修等を行っていく必要がある。有形固定資産減価償却率については、新病院建設に係る建物減価償却費の未償却額が多いことから、類似病院平均値を大きく下回っている器械備品減価償却率については、新病院開院時に購入した医療機器の多くが償却終了したことから類似病院平均値と近似している。今後は機器更新計画に基づき計画的に更新していく必要がある。
全体総括
新型コロナウイルス感染症の感染状況は未だ見通せず、来院患者数の回復や国庫補助についても不透明な状況にあるが、引き続き、第2種感染症指定医療機関としての責務を果たすべく新型コロナウイルス感染症への対応を行うとともに、通常診療との両立を図っていく。医業収支の改善に向け、引き続き救急搬送患者の受入れ促進や、地域医療支援病院の承認を契機として地域連携の一層の強化を図ることで紹介率・逆紹介率の向上をさせ医業収益の増加に努める。また、令和元年度・2年度にそれぞれ開設した「消化器センター」「下肢機能再建センター」のほか、令和4年度には内視鏡手術支援ロボット「daVinci」の導入、音声外科センターの設置し、これらを柱とする収益構造の構築を図るとともに、集患に向けた地域の診療所へ積極的な情報発信などにより、病床利用率の向上に努める。