地域において担っている役割
当院は、軽井沢町を中心とした地域を日常医療圏として二次医療を担っている。一方で、国際保健休養地に立地する病院として、町民はもとより、町を訪れる観光客や別荘客など、多様な患者を受入れている。また、救急医療に関しては中核的な役割を果たし、軽井沢町におけるセーフティネットの要としての役割を積極的に担っている。
経営の健全性・効率性について
平成29年から単年度黒字が続いていたが、令和2年度については経常収支比率が90.8%となり、単年度赤字に転じてしまった。新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、入院・外来患者数が減少し、人間ドック等健診の一時停止も加わり医業収益の減少に繋がった。また対応に係る給与費、材料費、検査委託費等の医業費用が増加したこともあり、医業収支比率は72.2%と前年から8.2%減少した。今後も新型コロナウイルス感染症への対応を引き続き行いつつ、会計年度任用職員制度による職員移行等により増加した職員給与費、新型コロナウイルス感染症に係る医業費用を充足できるよう、適切な施設基準の届出、病床利用率向上による収益の確保及び適切な人員配置による経営改善の検討が必要である。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率・機械備品減価償却率・1床当たり有形固定資産のいずれをとっても、類似病院平均・全国平均を大幅に上回っている。これは平成14年7月の新築移転に併せて購入した器械備品や建物附属設備等の減価償却がほぼ終わり、老朽化が進んでいることが要因である。計画的な更新の検討が必要であるが、一般会計からの繰入に頼っている中で、費用の捻出は容易ではない状況が続いている。
全体総括
全国的に少子高齢化が進む中で、軽井沢町の医療・介護需要は隣接する他医療圏に比べ大きく増加する予測となっている。「地域医療構想」や「地域包括ケアシステムの構築」の中での役割を考慮しつつ、自治体病院として地域に必要な医療の提供のために必要な医療従事者の確保、医療設備の整備を適宜行っていく必要がある。また新型コロナウイルス感染症の経営への影響を最小限にすべく、職員の負担を考慮した上で、適切な施設基準の届出、病床利用率向上による収益の確保及び適切な人員配置とそれに伴う人材確保を行い、経営改善に努める。