地域において担っている役割
当院は、軽井沢町を中心とした地域を日常医療圏として2次医療を担っている。一方で、国際保健休養地に立地する病院として、町民はもとより、町を訪れる観光客や別荘客など、多様な患者を受け入れている。また、救急医療に関しては中核的な役割を果たし、軽井沢町におけるセーフティネットの要としての役割を積極的に担っている。
経営の健全性・効率性について
令和元年度は前年度に引き続き、経常収支比率が103.4%と単年度黒字になり過去からの累積欠損金の解消に繋がった。医業収支比率は80.4%と類似病院平均を下回り、一般会計からの繰入金に依存している状況である。入院及び外来患者1人1日当たりの収益は増となったが、類似病院平均と比較すると依然大きく下回っている。職員給与額医業収益比率については年々増加してきている状況である。給与費相当の業務委託料も合わせるとさらに高い率となる。今後も引き続き適切な施設基準の届出、病床利用率のアップによる収益の確保及び適切な人員配置等による経営改善の検討が必要である。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率・機械備品減価償却率・1床当たり有形固定資産のいずれをとっても、類似病院平均・全国平均を大幅に上回っている。これは平成14年7月の新築移転に併せて購入した器械備品や建物付属設備等の減価償却がほぼ終わり、老朽化が進んでいることが要因である。計画的な更新の検討が必要であるが、一般会計からの繰入に頼っている中で、費用の捻出は容易ではない状況が続いている。
全体総括
全国的に少子高齢化が進む中で、軽井沢町の医療・介護需要は隣接する他の医療圏に比べ大きく増加する予測となっている。2025年問題に向けた「地域医療構想」や「地域包括ケアシステムの構築」の中での役割を考慮しつつ、自治体病院として地域に必要な医療を提供するため、医療従事者の確保、医療設備の整備を適宜行う必要がある。医師偏在問題が注目されている中、当院においても医師確保は最重要課題であるが、平成29年度より始まった町と国立大学との包括的連携事業等により医師確保を行い、改革プラン中の医師目標数値に近づいている状況である。今後は改革プランに沿って病棟再編を検討する中で、適切な人員配置とそれに伴う人材確保を行い経営改善に努める。