地域において担っている役割
松本医療圏の西部に位置し、主に農業振興地域と中山間地域が岐阜県境まで広がる松本市西部地域における唯一の病院として立地しています。公立病院として、救急医療、災害時における医療、へき地医療、周産期医療、小児医療など長野県保健医療計画に基づく医療体制の構築と、その他、地域に必要な医療の提供を政策的に担っています。また、松本医療圏における第二種感染症指定病院の指定を受け、二類感染症病床機能を有しています。
経営の健全性・効率性について
医業収益は、ほぼ横ばいですが、医業費用は給与費が増加を続けており、経常収支比率、医業収支比率ともに毎年悪化しています。経常収支比率はH27から平均値を下回り、H28は94.4%で平均値を1.8ポイント下回っています。一方、医業収支比率は低下傾向にあるものの、平均値を上回っています。これは、類似病院と比べて医業外収益として計上している一般会計からの繰入金が小さいことが要因となっています。病床利用率はH28で68.3%と平均値を2.9ポイント下回っています。また、入院患者1人1日当たり収益及び外来患者1人1日当たり収益が平均値を大きく下回っており、医業収益を増加させる取組みが必要です。加えて給与費の抑制、削減が不可欠です。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率はH28で53.8%と平均値を9.1ポイント上回っています。近年、平均値との差が大きくなっており、施設・設備の老朽化が進んでいる状況です。特に医療機器等の老朽化が進んでおり、器械備品減価償却率は73.6%と高くなっています。設備投資を抑えてきたことによる施設・設備の老朽化への対策としてH26からH28の3年計画で大規模な設備投資を実施しました。しかし、H28における減価償却費比率は5.3%で、同一規模の一般病院・自治体病院の平均と比べて低く、設備投資を極力抑えた経営状況です。1床当たり有形固定資産は増加していますが、H26以降は平均値を下回り、かつ平均値との差が大きくなっており、設備投資が未だ不十分な状況です。
全体総括
病院経営においては、医療機器の更新など、経営規模に見合った設備投資が必要です。設備投資に当たっては地方債を起こしますが、その元利償還金に対しては一般会計からの繰入があります。残額は病院が自己負担するものですが、これには経営により生み出した現金を充てます。しかし、H26以降、3期連続の赤字決算となっており、必要な設備投資が難しい状況です。安定した病院経営のためには収支の改善が必要です。このため、当院はH29.3に策定した松本市立病院新公立病院改革プランに基づく取組みを進めていきます。