経営の健全性・効率性について
経営の健全性を示す経常収支比率は100%を達成している。また、使用料収入で必要経費を賄う指標である経費回収率については、令和2年度は大雪であったため消雪水からの不明水流入の影響で94.04%となったが、汚水処理費や施設の維持管理費は使用料である程度賄うことができていると考えられるため、健全な経営ができているといえる。(逆に令和元年度は暖冬であったため、経費回収率は例年に比べて高い数値となっていたと考える。)経費回収率に関連して、汚水処理原価についても不明水流入の影響で令和元年度に比べると上昇した。財務の安定性を示す流動比率は11.02%と100%を大きく下回っているが、使用料収入や一般会計繰入金等の原資で企業債の償還を予定している。企業債残高対事業規模比率は、類似団体と比較しても高い数値となっているが、今後、企業債残高が減少していくため比率は下がっていく見込みである。施設利用率については不明水の流入量が影響すると考えられる。特に冬季間に発生する消雪水が老朽化したマンホール蓋から流入することを防ぐため、計画的にマンホール蓋の更新を実施している。また、管渠の破損等により地下水の流入がないかカメラ調査を計画的に実施していくこととしている。水洗化率は面整備を完了したことにより94.52%と類似団体と比較しても高い数値であるが、残りの未接続世帯についても引き続き接続の促進を図っていく。
老朽化の状況について
市が所有する処理場である「大和クリーンセンター」は、平成5年の供用開始からあと数年で30年を迎える。施設の老朽化に対応するため、平成27年度から平成30年度まで長寿命化及び耐震工事を実施した。老朽化による機器の改築・更新や修繕を含めた維持管理費の増、及び「広域化」の流れから流域下水道への統合を検討し県と合意に至っており、実施に向けて進めているところである。管渠については、入替や更生はほとんど行っていないが、ストックマネジメント計画を平成28年度に策定し、平成29年度から老朽化したマンホール蓋の更新を実施している。
全体総括
令和元年度に公営企業会計に移行したことにより、今まで以上に高いコスト意識を持ち、老朽化しつつある処理設備の長寿命化やマンホール蓋の更新による不明水の削減等で維持管理費の節減に努める。水洗化率は既に高水準に達しており今後の大幅な改善は見込めない状況であるため、安全運用を確保しながら、より健全で効率的な下水道事業運営を図っていく。なお、平成28年度に策定した経営戦略は、公営企業会計に移行したこと、また、策定から4年を経過したことから令和2年度に改定を行った。