経営の健全性・効率性について
令和3年度決算は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、使用料収益が減少する中、純利益13,406,009円を計上しました。毎月の増減幅が大きい米軍施設の下水道使用料の動向や、修繕の多少によっては容易に赤字(純損失)に転じる可能性がある経営状況であったと言えます。①経常収支比率:黒字決算のため、100%を上回りました。②累積欠損金比率:累積赤字はありません。③流動比率:令和4年度に一括償還を予定している企業債があるため、流動負債が例年より増加しており、流動比率が減少しております。⑤経費回収率:令和2年度に引き続き新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で使用料収入が伸び悩んだため、汚水処理経費の全額を使用料収入でカバーすることはできませんでした。費用面を見てみると、「⑥汚水処理原価」については87.66円と、類似団体平均187.69円及び全国平均134.98円と比較して大幅に小さい値となっていること、また、水洗化率が97.56%と高い水準にあることから、効率的事業経営が図られているものと考えます。また、「④企業債残高対事業規模比率」については、類似団体平均及び全国平均と比べて低い状況となっていますが、今後、施設更新が控えており、経営の硬直化を防ぐため、投資の平準化と企業債発行の抑制を検討してまいります。
老朽化の状況について
北谷町は令和3年8月に公共下水道供用開始から50周年を迎え、法定耐用年数を経過した管渠が現れており、これまでゼロだった老朽化率が計上され始めました。老朽化対策は重要な課題の一つとなっており、これまで敷設後30年を経過した主要な管渠を対象に下水道長寿命化計画を策定し、工事に着手してまいりました。今後はストックマネジメント計画に基づき、管きょの健全度を調査しながら、計画的・効果的な施設の更新に努めて参ります。
全体総括
令和2年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症の影響で、米軍施設や大型宿泊施設といった大口需要家の排水量が低調に推移したことに伴い、下水道使用料収益も減少しており、非常に厳しい経営状況となっております。新型コロナウイルス感染症については今後も不透明な状況が続くことが予想されますが、このような状況下でも安定した経営を維持できるよう、令和4年8月に投資財政計画をチェックし、経営戦略の見直しを行いました。その結果、事業継続性について確認が出来ましたが、米軍施設からの排水量のさらなる減少や、ポンプ場動力費(電気代)の大幅な増加など、一層経営が厳しくなる要素が発生しており、経営の実情は計画値より悪化する可能性があります。経営状況の分析には一層力を入れて取り組むとともに、広域化・共同化など、より効率的な経営のあり方について検討してまいります。