経営の健全性・効率性について
当水道部は房総半島の中央に位置し、水源の確保を利根川水系の用水供給団体から受水することで補っていることから、給水に係る費用を水道料金による収入で賄うことができず、料金回収率は85%となり、全国平均、類似団体平均値を下回る状況である。行政区域内人口の減少や、節水機器等の普及により使用水量が落ち込んでいることから、給水収益は減少傾向にある。安定した収益が減少しているなか、千葉県や構成市町村からの高料金対策による補助金・負担金等により経常収支の均衡を保っている。また、既設水道を統合して給水を開始したことにより、老朽化した水道施設が多く存在しているため、建設改良事業に係る費用を企業債の借入に依存していることから、企業債残高対給水収益比率は類似団体平均値を大きく上回っている。併せて、給水区域に農村部を多く抱えていることからも、配水管布設延長に対し配水量が少なく、施設利用率が類似団体平均値を下回っていることに加え、老朽化した配水管からの無効水量(漏水量)が多く、経営の効率性を損なうこととなっている。
老朽化の状況について
昭和55年に既設水道事業を統合して給水を開始したことから、老朽化した施設が多く存在しているため、有形固定資産減価償却率や管路経年化率が類似団体平均値を大きく上回っている。管路に関しては、経年管の更新事業を主要施策として実施し、既設水道事業時代に埋設された塩化ビニル管等の漏水事故が多くみられることから、耐震化に併せて管路の更新工事を年間5.2km実施している。また、浄水場などの水道施設についても既設水道事業時代の施設を修繕して使用しているため、大規模な改修工事が必要となっている。
全体総括
安定した経営を図るためにも、経常費用の5割を占める受水費の削減が必要である。現在、受水費の削減措置が実施されているため、僅かではあるが一時的に給水原価が引き下げられたが、依然として高額な給水原価の配水損失を防ぐため、類似団体平均を下回る有収率の向上が急務であり、漏水調査の計画的実施や老朽化した管路の更新工事を実施する予定である。また、配水量の減少から低迷する施設利用率を考慮し、建設改良工事を計画的、効率的に実施するため、現在ダウンサイジングを含めた水道施設の再構築を検討している。