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地方財政ダッシュボード

秋田県鹿角市の財政状況(2019年度)

🏠鹿角市

地方公営企業の一覧

簡易水道事業 末端給水事業 公共下水道 農業集落排水


収録データの年度

📅2023年度📅2022年度📅2021年度📅2020年度📅2019年度📅2018年度📅2017年度📅2016年度📅2015年度📅2014年度📅2013年度📅2012年度📅2011年度

総括表

人口の推移

財政比較分析表(2019年度)

財政力指数の分析欄

財政力指数は前年度と同水準を維持しているが、少子化や人口減少、高齢化の影響などから、類似団体平均を下回る0.33となっている。主要産業である農業では、主要農畜産物の産地強化、6次産業化による付加価値の創出に取り組み、観光業では、産業間の連携による地域経済の活性化や移住定住の促進により、地域活力の向上に取り組んでいく。また、地場産業への支援や企業誘致の促進を図り、新たな雇用の創出、市民所得の向上を図るとともに、地方税等の徴収強化に取り組み、自主財源の確保に努める。

経常収支比率の分析欄

分母である経常一般財源等収入額は、地方税において、市民税及び固定資産税が増加したほか、普通交付税が公債費の増額及び社会福祉費の単位費用の見直しなどにより増額したことに加え、地方特例交付金が子ども・子育て支援交付金の創設などにより増額したことから、前年度比3.0%の増となった。分子の経常経費充当一般財源は、補助費等において、鹿角広域行政組合への消防費負担金などが増額したほか、公債費が平成27年度に借入した過疎対策事業債の元金償還が開始されたことなどにより、前年度比2.3%の増となった。比率全体では、類似団体平均を下回る92.1%となり、前年度比0.6ポイント減少した。今後も事務事業の見直しを図り、義務的経費を含む歳出の削減に努めるとともに、経常一般財源の確保に努めていく。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

人件費は、秋田県人事委員会勧告を踏まえた期末勤勉手当の増加などにより全体で前年度比1.0%増となった。物件費は、各公共施設の施設管理料の増額や基幹・マイナンバーシステム管理費の増額などにより前年度比5.5%増となった。人口1人当たりでは、前年度より2,019円減少し、類似団体平均と比較すると28,370円下回り低い水準で推移している。今後は、公共施設等の適切な管理運営や事務の効率化を図り、物件費等の削減に努めるとともに、人件費についても鹿角市定員適正化推進計画(令和2~令和6)に基づく適正な定員管理を行っていく。

ラスパイレス指数の分析欄

本市は、昭和47年の町村合併後に職員採用を抑制したことから、職員の年齢構成がいびつな構成となっている。今後も秋田県人事委員会勧告や民間給与水準との均衡を基本として、年齢構成の平準化の推進等により給与の適正化を図っていく。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

鹿角市定員適正化推進計画(平成27~令和1)による計画的な定員の適正化を進めてきたことにより、職員数は計画数を達成しており、例年類似団体平均を下回って推移している。引き続き、事務事業の効率化や公共施設の指定管理などの民間委託を推進しながら、効率的かつ機動的な人員配置に努め、適正な定員管理を維持していく。

実質公債費比率の分析欄

第6次鹿角市総合計画前期基本計画(平成23~平成27)に基づき、平成27年度に実施した八幡平市民センター建設事業や認定こども園建設事業などの普通建設事業に伴い借入した過疎対策事業債の元金償還が開始されたことにより、元利償還金は前年度比11.7%増の1,945百万円となり、比率は前年度より0.3ポイント増加した。今後も平成28年度から実施した大湯温泉地区観光拠点施設整備事業や学校給食施設整備等事業などに伴い借入した過疎対策事業債の元金償還が開始されることにより、元利償還金は増加傾向で推移する見込みである。財政の健全性を維持するため、事業の年度間調整や地方債の発行抑制を図りながら、適正な地方債管理に努めていく。

将来負担比率の分析欄

地方債現在高が臨時財政対策債や学校教育施設等整備事業債などの元金償還が進んだことにより減少した一方で、公営企業債等繰入見込額が増額したことから、比率は前年度より3.7ポイント増加した。類似団体平均は下回っているものの、今後も鹿角観光ふるさと館改修事業など地方債を活用した普通建設事業が続くことから、交付税算入率の高い過疎対策事業債などを積極的に活用するとともに、財源の確保に努め、充当可能基金の増加につなげていく。また、事務事業の見直しを徹底した予算編成を進め、歳出の抑制を図っていく。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2019年度)

人件費の分析欄

鹿角市行政改革大綱(平成28~令和2)や鹿角市定員適正化推進計画(平成27~令和1)により、適正な人員管理を行っており、類似団体平均と比較すると大きく下回っている。今後も鹿角市定員適正化推進計画(令和2~令和6)に基づき、適正な人員配置に努め、人件費の抑制を図っていく。

物件費の分析欄

指定管理者制度の導入を積極的に進めてきたことにより、比率は平成28年度以降上昇傾向にあり、類似団体平均を上回っている。各公共施設の施設管理委託料が増額したことから前年度比2.3%増加しているものの、経常収支比率が減少したことにより、比率は前年度から0.1ポイント減少した。今後も経常的経費の削減を図るなど、事務事業の見直しにより経費の削減に努めていく。

扶助費の分析欄

障害者等の高齢化に伴うサービス利用の増加により障害者自立支援給付扶助費等が増額したほか、認可保育園等に係る委託料の増額などにより、前年度比で2.4%増加したものの、経常経費充当一般財源等では、認可保育園指定管理料等精算金が増額したことなどにより、比率は前年度より0.9ポイント減少したが、依然として、類似団体平均を大きく上回っている。子育て支援施策として、市独自の保育料軽減やファミリーサポートセンターによる育児支援のほか、市内8か所の放課後児童クラブの開設による待機児童対策にも注力しており、今後も必要な支援を継続しながら、事業の適正化や見直しにより、扶助費の抑制を図っていく。

その他の分析欄

維持補修費は、除排雪に係る経費が多くを占めているが、降雪量が少なかったことにより前年度比5.5%減少した。繰出金を含めた比率は前年度に比べ0.9ポイント減少したが、依然として類似団体平均を上回っている。今後は、介護保険事業特別会計に係る給付費が増加傾向にあることから、次期計画において、保険料の見直しを検討するなど自主財源の確保に努めていく。

補助費等の分析欄

消防庁舎建設に伴い借入した地方債の元金償還開始により、鹿角広域行政組合負担金が増加したほか、ごみ処理費負担金も増加したことから、前年度に比べ0.4ポイント増加した。今後も地方債償還額の増加に伴う鹿角広域行政組合負担金の増加が見込まれることから、引き続き補助金等の見直しを進め、適正化を図っていく。

公債費の分析欄

平成27年度に実施した八幡平市民センター建設事業や認定こども園建設事業、大湯小学校大規模改造事業などの普通建設事業に伴い借入した過疎対策事業債の元金償還が開始されたことから、比率は前年度より1.4%増加したが、類似団体平均を下回っている。今後、大湯地区観光拠点施設整備事業などに借入した地方債の償還が見込まれるほか、鹿角観光ふるさと館改修事業などで地方債の発行を見込んでいることから、地方債の償還額と発行額のバランス等を考慮し、適正な地方債管理に努めていく。

公債費以外の分析欄

公債費以外に係る経常収支比率は前年度から2.0ポイント減少した。今後は、選択と集中による事業の効率化を図り、義務的経費を含む歳出全般の経費の削減を図るとともに経常一般財源の確保に努めていく。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2019年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

総務費は、ふるさと鹿角応援寄附金の増額に伴うふるさと鹿角応援基金積立金の増額や基幹・マイナンバーシステム管理費の皆増により前年度比で10.1%増加したが、類似団体平均と比較すると20,934円下回っている。民生費は、社会福祉施設等整備支援事業の皆増や障害者自立支援給付費及び認可保育園の指定管理料等の増額により前年度比で4.8%増加し、類似団体平均と比較すると5,678円上回っている。衛生費は、鹿角広域行政組合へのし尿処理費負担金が減額したことにより総額では前年度比1.4%減少したものの、人口が減少したことから住民一人当たりのコストは前年度比0.5%増加した。類似団体平均と比較すると24,089円下回っている。農林水産業費は、強い農業づくり推進事業の皆減や農地集積促進事業の減額などにより前年度比34.5%減少したものの、類似団体平均と比較すると614円上回っている。商工費は、鹿角観光ふるさと館改修事業の増額や企業立地促進事業の増額などにより前年度比38.5%増加した。類似団体平均と比較すると22,883円上回っている。土木費は、暖冬による降雪量の減少により除雪対策事業が減額したことから前年度比5.2%減少したが、類似団体平均と比較すると4,119円上回っている。消防費は、鹿角広域行政組合への消防費負担金が増額したことから前年度比5.1%増加し、類似団体平均と比較すると937円上回っている。教育費は、花輪第一中学校大規模改造事業により増額したものの、学校給食施設等整備事業の皆減により前年度比26.1%減少し、類似団体平均と比較して5,158円下回った。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2019年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

歳出決算総額は、住民一人当たりのコストが11,523円減少し、601,867円となり、前年度より1.9%減少した。人件費は、第9次鹿角市行政改革大綱(平成28~令和2)や鹿角市定員適正化推進計画(平成27~令和1)において、職員の定員適正化などを着実に進めてきたことにより、類似団体平均を大きく下回っている。維持補修費は、除排雪に係る経費について、降雪量が少なかったことから前年度比で43.7%減少したが、類似団体平均と比較すると4,734円上回っている。扶助費は、障害者自立支援給付費が増額しているほか、認可保育園等に係る委託料の増額により前年度比で4.3%増加した。類似団体平均と比較すると17,333円上回っているが、市独自の保育料軽減など子育て支援施策に注力していることから社会保障関係経費が増加傾向にある。今後は必要な支援を継続しながら、事業の見直しや適正化を進め経費の削減を図っていく。補助費等は、企業の設備投資を助成する企業立地助成金が増額したが、強い農業づくり推進事業補助金の皆減や農地集積協力金の減額により前年度比で18.1%減少したが、類似団体平均との比較では10,958円上回っている。今後は鹿角広域行政組合負担金において、消防庁舎建設に伴う地方債償還額の増加などにより負担金の増加が見込まれることから、定期的に補助費等を見直し、事業の選択と集中を図っていく。普通建設事業費のうち新規整備については、学校給食施設等整備事業などが終了したことにより前年度比で64.8%の減となった。更新整備については、鹿角観光ふるさと館改修事業の実施により比率は31.5%増加した。今後も統合校舎(花輪第二中学校)大規模改造事業など普通建設事業が続くことから、過疎対策事業債などの有利な地方債の活用と義務的経費の圧縮を図るなど歳出の抑制を徹底していく。繰出金は、後期高齢者医療特別会計において、保険料の増額などにより総額では前年度比0.4%減少しているが、人口が減少したことにより住民一人当たりのコストは1.5%増加しており、類似団体平均との比較では6,841円上回っている。今度も第6次鹿角市総合計画後期基本計画(平成28~令和2)の推進を図るとともに、限られた財源の中、最小の経費で最大の効果を出せるよう歳入歳出全体の適正化に努めていく。

実質収支比率等に係る経年分析(2019年度)

分析欄

財政調整基金は、中期的な見通しのもと決算剰余金を中心に積み立てるとともに、取り崩しの抑制に努めており、令和元年度は、除排雪関連経費が減少したことなどにより取り崩しがなく、207百万円積み立てたことから財政調整基金残高は2,437百万円となった。実質収支額は、自主財源である地方税等において市民税や固定資産税が増加したものの、公債費の償還元金の増額や扶助費の認可保育園に係る委託料などの増額により、前年度比10百万円の減額となり、比率は0.15ポイント減少した。実質単年度収支は、基金の取り崩しがなかったことから黒字に転じ、比率は6.54ポイント増加した。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2019年度)

分析欄

上水道事業会計及び一般会計、5つの特別会計で黒字となっている。一般会計は、今後も自主財源の確保に努めるほか、過疎対策事業債などの有利な地方債の活用を図り、基金の取り崩しを抑制するとともに市民福祉の向上と持続可能な財政運営の両立に取り組んでいく。介護保険事業特別会計は、介護サービス事業勘定が令和元年度から地域包括支援センターをすべて事業委託したことに伴い平成30年度末で廃止となり、保険事業勘定へ一本化された。今後、保険給付費の増加が見込まれることから、次期計画において保険料の見直しを検討するなど自主財源の確保に努める。その他の会計については、自主財源の確保や事務事業の見直しを行い、持続可能な財政運営を図っていく。

実質公債費比率(分子)の構造(2019年度)

分析欄

元利償還金は、平成27年度に借入した過疎対策事業債などの元金償還が開始されたことにより204百万円増加した。組合等が起こした地方債の元利償還金に対する負担金等は、消防庁舎建設事業のために借入した緊急防災・減災事業債等の元金償還が開始されたことにより29百万円増加した。今後の元利償還金は、平成28年度から実施した大湯温泉地区観光拠点施設整備事業や学校給食施設整備等事業などに伴い借入した過疎対策事業債の元金償還が開始されることにより、1,900百万円台で推移すると見込んでいる。財政の健全性を維持するためにも、償還額と地方債発行額のバランスに注意し、地方債の発行抑制を図りながら、適正な地方債管理に努めていく。

将来負担比率(分子)の構造(2019年度)

分析欄

一般会計等に係る地方債の現在高は、鹿角観光ふるさと館改修事業、花輪第一中学校大規模改造事業などに過疎対策事業債等の地方債を発行したものの、臨時財政対策債や学校教育施設等整備事業債に係る元金償還が進んだことにより、前年度比254百万円の減となった。公営企業債等繰入見込額では、下水道事業特別会計及び農業集落排水事業特別会計において、繰入割合が増加したことに伴い、前年度比213百万円の増となった。充当可能基金では、企業立地促進基金において、事業の高度化等を行う企業を支援する助成金に取り崩したことから、前年度比231百万円の減となった。中長期的な見通しを踏まえ、事業は財源を見込んで計画的に進めるとともに、事業の年度間調整や地方債の償還元金を超えない範囲で借入するなど、引き続き将来負担の改善に向けた財政運営に取り組んでいく。また、将来に向けて持続可能な財政基盤を堅持し、充当可能財源等の確保に努めていく。

基金残高に係る経年分析(2019年度)

基金全体

(増減理由)財政調整基金については取り崩しがなかったものの、特定目的基金である企業立地促進基金の活用やまちづくり基金の活用などにより、補助金などの各種支援事業や施設等整備事業に充当するため、それぞれ取り崩したことにより基金残高は5,399百万円、全体で前年度比168百万円の減となった。(今後の方針)財政調整基金については、弾力的な財政運営を図る上でも一定の基金残高の確保が必要であることから、今後とも基金残高を意識した予算編成を進めるとともに、標準財政規模の10%以上の残高維持に努める。また、その他特定目的基金については、各基金とも今後の事業計画によって取り崩しが見込まれることから、効率かつ効果的な活用を図りながら、計画的な積み増し及び取り崩しに努めていく。

財政調整基金

(増減理由)地方財政法に規定された前年度実質収支の1/2を下回らない額として、151百万円を積み立てたほか、降雪量が少なかったことから取り崩しがなく56百万円を積み立て、基金残高は2,437百万円、前年度比で207百万円増加した。(今後の方針)第6次鹿角市総合計画後期基本計画(H28~R2)の着実な推進と突発的な災害等に迅速に対応するためにも、一定の基金残高の確保が必要であることから、基金残高を意識した予算編成を進めるとともに、標準財政規模の10%以上の残高維持に努める。

減債基金

(増減理由)減債基金については、起債の繰上償還等に備え積立しているものであるが、繰上償還を行っていないため現状維持で推移している。(今後の方針)地方債の繰上償還等が発生した場合は、その財源として取り崩しを行っていく。

その他特定目的基金

(基金の使途)まちづくり基金:住みよい豊かなまちづくりの施策の推進企業立地促進基金:市内に企業を立地するものに対する財政援助教育施設整備基金:教育施設の整備の推進(増減理由)まちづくり基金:社会福祉施設等整備支援事業や鹿角花輪駅前整備事業などに充当したことにより前年度比で177百万円減少した。企業立地促進基金:市内企業14社への設備投資に助成したことから前年度比で312百万円減少した。教育施設整備基金:学校の統廃合に伴う花輪第一中学校大規模改造事業や校務用パソコン(中学校)の更新などに充当したことにより前年度比で20百万円減少した。(今後の方針)今後は、鹿角観光ふるさと館改修事業や市営住宅整備事業などにまちづくり基金を活用予定であるほか、市内企業への設備投資に引き続き助成するため企業立地促進基金を活用する予定としていることから、計画的な運用を図っていく。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2019年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

本市の有形固定資産減価償却率は、類似団体内平均値よりやや高い水準にある。道路や一般廃棄物処理施設等の老朽化が進んでいることが要因として挙げられる。前年度比では、比率は上昇傾向にあるが、今後は鹿角市公共施設等総合管理計画の基本方針に基づき、公営住宅や一般廃棄物処理施設等の老朽化した施設の建て替えや長寿命化、統廃合を積極的に進めていく。

債務償還比率の分析欄

本市の債務償還比率は、類似団体内平均値を下回っている。適正な地方債の管理により、地方債の現在高が減少したものの、第6次鹿角市総合計画後期基本計画(平成28~令和2)に基づき、地元企業の高度化支援である企業立地促進事業に基金を活用したことから、充当可能基金は減少した。一方で、経常一般財源等が普通交付税の増により増加したことから、前年度よりも比率は減少している。今後も、将来負担額の大半を占める地方債について、償還額以上の借入をしないなど、残高の抑制に努め、健全な財政運営を図っていく。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

将来負担比率は類似団体内平均値よりも低いものの、有形固定資産減価償却率は高い水準となっている。第6次鹿角市総合計画後期基本計画(H28~R2)に掲げる産業力強化プロジェクトなどの重点プロジェクトの実施により、施設の整備や長寿命化が図られ、有形固定資産減価償却率の上昇幅を抑える要素となっているものの、財源として地方債や基金を活用したことから、充当可能基金残高は減少し、将来負担比率は前年度に比べ増加した。今後は鹿角市公共施設等総合管理計画の基本方針に基づき、老朽化した施設の長寿命化や統廃合を積極的に進めていくとともに、財源の確保に努め、将来負担比率の上昇抑制を図っていく。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

将来負担比率及び実質公債費比率ともに、類似団体内平均値と比較して低い水準にある。これは財源の確保と歳出の抑制を徹底した予算編成や交付税算入率の有利な地方債を活用するなどの地方債管理を行ったことが主な要因となっている。前年度比では、両比率の分母となる標準財政規模が増加したものの、企業立地促進事業などに基金を活用したことから充当可能基金が減少し、将来負担比率は増加している。実質公債費比率では、平成27年度に借入した八幡平市民センター建設事業などに係る地方債の元金償還が開始されたことから公債費が増加したものの、過疎対策事業債などの有利な地方債の活用により、公債費等交付税算入額も増加したことから、比率の上昇幅は抑えられた。今後も、引き続き地方債の管理を徹底するとともに、地方税等の徴収強化など自主財源の確保に努め、健全な財政運営を図っていく。

施設類型別ストック情報分析表①(2019年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

類似団体内平均値と比較して有形固定資産減価償却率が高くなっている施設は、道路、公営住宅であり、低くなっている施設は、橋りょう、認定こども園、学校施設、児童館である。道路については、道路改良など長寿命化を図っているものの、農道、林道において減価償却が進んでいる路線が多く、類似団体内平均値よりも高くなっている。公営住宅については、耐用年数を経過した住宅もあり、類似団体内平均値よりも高くなっているが、鹿角市公営住宅等長寿命化計画(平成22~令和7)に基づき、国の補助金等を活用しながら順次更新を行っており、令和2年度から令和4年度にかけて新しい公営住宅が整備されることから今後、有形固定資産減価償却率は低下する見込みである。認定こども園・幼稚園・保育所については、平成27年度に整備したあおぞらこども園をはじめ、平成14年度から平成21年度の間に4施設の整備を行っているため、類似団体内平均値よりも低くなっている。学校施設については、鹿角市立学校等再編計画(平成28~令和2)に基づき、学校の統廃合を進めていることから、有形固定資産減価償却率の上昇幅は緩やかに推移する見込みである。児童館については、平成15年度に児童センターの整備を行っているため、類似団体内平均値よりも低くなっている。いずれの施設においても、鹿角市公共施設等総合管理計画及び各施設の個別施設計画に基づき、施設の維持管理や更新を適切に行っていく。

施設類型別ストック情報分析表②(2019年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

類似団体内平均値と比較して有形固定資産減価償却率が高くなっている施設は、体育館・プール、一般廃棄物処理施設、保健センター、庁舎であり、低くなっている施設は、図書館、福祉施設、市民会館、消防施設である。図書館については、平成26年度に完成した文化の杜交流館内に花輪図書館を移設したことにより、類似団体内平均値よりも低くなっている。体育館・プールについては、昭和50年代に建築された大型の体育館を有する市民センターや記念スポーツセンター、平成元年度に建築された花輪市民プールなどの老朽化が進んでいることから、類似団体内平均値よりも比率は高くなっている。市民会館については、平成26年度から平成28年度にかけて、2つの地区における市民センターを整備したことから、類似団体内平均値よりも低くなっている。一般廃棄物処理施設については、し尿処理場が平成9年度に建築(経過年数22年)、ごみ処理場が平成14年度に建築(経過年数16年)されたものであり、類似団体内平均値よりも比率が高くなっているが、令和3年度には、し尿処理場を汚泥再生処理施設として改修するほか、中間処理施設として不燃ごみリサイクルセンターを整備することから、有形固定資産減価償却率は低下する見込みである。保健センターについては、昭和62年度に建築(経過年数33年)されたものであり、減価償却が進んでいるため、類似団体内平均値よりも高くなっている。消防施設については、平成27年度に鹿角消防署の整備を行ったため、類似団体内平均値よりも低くなっている。庁舎については、平成30年度から令和元年度にかけて庁舎の外壁改修工事を行ったことにより、前年度に比べ比率は低下しているものの、類似団体内平均値よりも高くなっている。いずれの施設においても、鹿角市公共施設等総合管理計画及び各施設の個別施設計画に基づき、施設の維持管理や更新を適切に行っていく。

財務書類に関する情報①(2019年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計等においては、資産総額が前年度末から941百万円減少(△1.4%)している。金額の変動が大きいものは有形固定資産のうち事業用資産である建物とインフラ資産である工作物の減価償却累計額であり、平成30年度に建設した鹿角市学校給食センターの償却開始等により2,009百万円増加している。また、負債総額が前年度末から390百万円減少し(△1.8%)ているが、負債減少額のうち最も金額が大きいものは、地方債(固定負債)であり、平成27年度に実施した八幡平市民センター建設事業に係る地方債の償還が始まったこと等から、地方債償還額が発行額を上回り、304百万円減少した。鹿角市上水道事業会計や鹿角市下水道事業特別会計を加えた全体では、資産総額は前年度末から1,178百万円減少(△1.3%)し、負債総額は前年度末から1,435百万円減少(△4.1%)した。資産総額は、上水道管、下水道管等のインフラ資産を計上していること等により、一般会計等に比べて20,331百万円多くなるが、負債総額も、下水道事業などに地方債(固定負債)を充当したこと等から、12,525百万円多くなっている。鹿角広域行政組合などの一部事務組合や公益財団法人鹿角市子ども未来事業団などの第三セクター等を加えた連結では、資産総額は前年度末から1,386百万円減少(△1.5%)し、負債総額は前年度末から1,406百万円減少(△3.7%)した。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

一般会計等においては、経常費用は16,514百万円となり、前年度比543百万円減少(△3.2%)した。そのうち、人件費や物件費等の業務費用は8,948百万円、補助金や社会保障給付等の移転費用は7,566百万円であり、業務費用の方が移転費用よりも多い。最も金額が大きいのは、物件費等で7,087百万円(前年度比△217百万円)、次いで補助金等の13,605百万円(前年度比△261百万円)であり、純行政コストの67%を占めている。物件費の割合が大きい理由は保育園の運営や施設管理等において、積極的に指定管理者制度を導入しているためである。今後も鹿角市公共施設等総合管理計画に基づき公共施設等の適正管理に努めるほか、事務事業の見直しや補助金等の見直しにより、経費の縮減に努める。全体では、一般会計等に比べて、鹿角市上水道事業会計や鹿角市下水道事業特別会計における経常収益である使用料及び手数料が491百万円多くなっている。一方、鹿角市国民健康保険事業特別会計や鹿角市介護保険事業特別会計において、国民健康保険の診療報酬や介護保険のサービス給付費を社会保障給付費に計上しているため、移転費用のうち社会保障給付が7,846百万円多くなっているなど、経常費用が8,014百万円多くなっていることにより、純行政コストも7,231百万円多くなっている。連結では、全体に比べて、株式会社かづの観光物産公社など第三セクター等の事業収益を計上していることから、経常収益が266百万円多くなっている。一方、人件費が1,313百万円多くなっているなど、経常費用が4,464百万円多くなっていることにより、純行政コストは4,326百万円多くなった。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

一般会計等においては、税収等の財源(15,173百万円)が純行政コスト(16,032百万円)を下回ったことにより、本年度差額は△859百万円となり、純資産残高が46,669百万円となった。今後も公共施設等の適正管理等による経常費用の削減を進めるほか、ふるさと納税制度の積極的な周知や地方税の徴収業務の強化等により税収等の増加に努める。全体では、鹿角市国民健康保険事業特別会計、鹿角市介護保険事業特別会計等の国民健康保険税や介護保険料が税収等に含まれることや国県等補助金が多いことから、一般会計等と比べて財源が7,991百万円多くなったものの、純行政コストが7,231百万円多くなっていることから本年度差額は△99百万円となり、純資産残高は54,476百万円となった。連結では、公益財団法人鹿角市子ども未来事業団など第三セクターにおける国県等からの補助金が財源に含まれることから、一般会計等と比べて財源が12,080百万円多くなっているものの、純行政コストが11,557百万円多くなっていることから、本年度差額は△336百万円となり、純資産残高は8,720百万円多くなっている。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

一般会計等において、業務活動収支は1,046百万円であったが、投資活動収支については、鹿角観光ふるさと館改修事業などを行ったことから、△867百万円となった。財務活動収支については、地方債の償還額が地方債発行収入を上回ったことから、△253百万円となっており、本年度末資金残高は285百万円(前年度比△74百万円)となった。全体では、国民健康保険税や介護保険料が税収等収入に含まれることや水道料金等の使用料及び手数料収入があることから、業務活動収支は一般会計等より492百万円多い1,538百万円となっている。財務活動収支については、地方債等償還支出が地方債等発行収入を上回ったことから、△591百万円となっており、本年度末資金残高は1,343百万円(前年度比△87百万円)となった。連結では、業務活動収支における業務支出のうち、鹿角広域行政組合などの一部事務組合や公益財団法人鹿角市子ども未来事業団などの第三セクター等の人件費支出が一般会計等と比べて1,517百万円多くなっており、業務活動収支では659百万円多い1,705百万円となった。財務活動収支については、地方債等償還支出が地方債等発行収入を上回ったことから、△730百万円となっており、本年度末資金残高は1,702百万円(前年度比△99百万円)となった。

財務書類に関する情報②(2019年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

住民一人当たりの資産額が類似団体平均値を下回っている。これは道路や河川の敷地のうち、取得価格が不明であるため、備忘価格1円で評価しているものが大半を占めているためである。歳入額対資産比率については、類似団体平均値を下回る結果となった。前年度と比較すると、資産合計では、有形固定資産である建物とインフラ資産である工作物の減価償却累計額が2,009百万円増加したことから、前年度比941百万円(△1.4%)減少となり、歳入総額の減少額(△772百万円)より減少額が大きかったことから、歳入額対資産比率は0.1年増加することとなった。有形固定資産減価償却率は、公共施設等の老朽化に伴い、前年度より1.0%増加しているが、類似団体平均値と同程度となっている。引き続き、鹿角市公共施設等総合管理計画に基づき、老朽化した施設について、点検・診断や計画的な予防保全による長寿命化を進めていくなど、公共施設等の適正管理に努める。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

純資産比率は、類似団体平均値と同程度であるが、純行政コストが税収等の財源を上回ったことによる純資産の減少率(前年度比△1.2%)より、有形固定資産である建物とインフラ資産である工作物の減価償却累計額の増加による資産の減少率(前年度比△1.4%)が大きかったことから、前年度比0.2%増加している。純資産の減少は、将来世代が利用可能な資源を過去及び現世代が費消して便益を享受したことを意味するため、事務事業の見直しや補助金等の見直しにより、行政コストの削減に努める。負債の大半を占めているのは、地方債であるが、うち地方交付税の不足を補うために特例的に発行している臨時財政対策債は6,434百万円となっており、地方債残高の34.0%に達している。臨時財政対策債等の特例的な地方債を除いた地方債残高を分子とする、社会資本等形成に係る将来世代の負担の程度を示す将来世代負担比率は、20.8%(前年度比同率)となった。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

住民一人当たり行政コストは類似団体平均値を下回っている。これは、地方公共団体の行政活動に係る費用を発生主義に基づきフルコストで表示した純行政コストのうち、特に物件費等である冬期間の除雪費用に係る維持補修費が大きく減少(前年度比△391百万円)したことによる。今後も鹿角市公共施設等総合管理計画に基づき公共施設等の適正管理に努めるほか、事務事業の見直しや補助金等の見直しにより、行政コストの削減に努める。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

住民一人当たり負債額は類似団体平均値を下回っており、前年度から38,972万円減少している。人口の減少(前年度比△572人)に加え、地方債の償還額が地方債発行収入を上回ったことから、負債額が減少した。今後も計画的に地方債を発行しながら、地方債残高の縮小に努める。基礎的財政収支は、支払利息支出を除いた業務活動収支の黒字分が基金の取崩収入及び基金積立支出を除いた投資活動収支の赤字分を上回ったため、92百万円となり、類似団体平均値を上回っている。投資活動収支が赤字となっているのは、地方債を発行して、鹿角観光ふるさと館改修事業などの公共施設整備を行ったためである。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

受益者負担比率は類似団体平均値を下回っているが、経常収益が指定管理料の過年度精算金の増加等により31百万円増加し、経常費用が冬期間の除雪費用に係る維持補修費の減少等により543百万円減少したため、0.3%増加した。公共施設等の使用料の見直しを行い受益者負担の適正化に努めるほか、事務事業の見直しや補助金等の見直しにより、より一層の経常費用の削減に努める。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,