経営の健全性・効率性について
①経常収支比率が前年度対比で0.23ポイント減少した要因は、主に使用料収入が減少し、処理場維持管理費が増加した結果である。②累積欠損金比率が前年度対比で12.35ポイント増加した要因は、一般会計繰入金を現金ベースで算定しており、現金支出を伴わない減価償却費相当額の一部が繰入金で手当てされないためである。③流動比率が前年度対比で11.74ポイント減少した要因は、委託等の支払いを年度内に終えたことにより、決算時の流動資産(現金)が減少したためである。④起債残高対事業規模比率が前年度対比17.99ポイント減少した要因は、面整備が終了し企業債償還が進んでいるためである。⑤経費回収率が前年度対比で2.7ポイント減少した要因は、処理場修繕費などの汚水処理費用が増加した一方で、使用料収入が減少したためである。⑥汚水処理原価が前年度対比6.76円増加した要因は、公費負担分を除く汚水処理費が増加した一方で、年間有収水量(使用料収入)が減少したためである。⑦施設利用率が前年度対比で2.73ポイント減少した要因は、晴天時の処理水量が減少したためである。⑧水洗化率が前年度対比で1.6ポイント増加した要因は、処理区内人口は減少したものの、新規水洗化による増加要因があったためである。
老朽化の状況について
①資産の減価償却に係る有形固定資産減価償却率が前年度対比で1.88ポイント増加している要因は、経年により減価償却が進んだためである。類似団体と比較して比率が高く、老朽化が進んでいる状態といえる。継続的に適正な維持管理を行っていくことに加え、耐用年数に達した施設や設備について、計画的な更新が必要である。②③管渠老朽化率が0%で推移している要因は、指標となる管渠の経年化が法定耐用に達していないためである。現時点で法定耐用年数を超える管渠がないものの、将来耐用年数に達すれば管渠の更新が必要となる。管渠更新には多額の経費を要することが予想されるため、適正な維持管理を継続するとともに、計画的に更新し事業費の平準化を図る必要がある。
全体総括
人口減少、下水道職員の減少、施設の老朽化が進行するなか、既存ストックをそのまま維持するのではなく、時代や環境の変化に対応した適正な施設規模にすることが求められている。持続可能な下水道事業を実現するため、近接するエリアを可能な限り統合する、広域化共同化を進めていく。また、限られた予算や人員の中で、効果的に施設管理を行うためには、下水道施設全体を俯瞰し、施設全体を対象とした中長期的な維持管理方針を定め、事業費の削減・平準化を実現するため、ストックマネジメント計画を策定し、国費充当による計画的な改築更新に取り組んでいく。