経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、給水収益の減少に伴い低下しているものの、100%を上回っている。類似団体平均値と比較しても高い水準である。②累積欠損金比率は0%と、累積欠損金は発生していないことがわかる。③流動比率は、100%を上回り、短期的な支払い能力に支障はない。④企業債残高対給水収益比率は、給水収益が減少傾向にあるものの企業債残高の減少により、改善傾向にある。⑤料金回収率は、給水収益の減少に伴い低下しているものの、100%を上回っている。類似団体平均値と比較しても高い水準であり、経営に必要な経費を給水収益で賄うことが出来ている。⑥給水原価は、年々減少傾向にある中、令和元年度では有収水量の減少に伴い増加に転じている。類似団体平均値との比較では低い水準である。⑦施設利用率は、年々低下傾向にあり、また類似団体平均値と比較しても低い水準である。水需要の減少に伴う配水量の減少により、余剰資産が増加しているためと考えられる。⑧有収率は、96%前後の数値を保っており、類似団体平均値との比較では高い水準である。水道施設の稼働状況が収益に繋がっており、収益の対象とならない漏水等が少ないことがわかる。以上の状況から、健全かつ効率的な経営状況であるといえる。
老朽化の状況について
門真市は高度経済成長期の急激に発展していく都市に必要な水需要に即応させるため、集中的に水道施設の整備を行ったことにより、大半の資産において更新の時期を迎えている状況である。そのため、有形固定資産減価償却率及び管路経年化率については、年々増加し類似団体平均値と比較しても上回っており、法定耐用年数を超過した資産の保有状況は増加傾向にあることがわかる。管路更新率では、1.08%であり、一般的に法定耐用年数40年での更新率年2.5%を大きく下回っているが、類似団体平均値と比較すると高い水準である。今後も引き続き、本市の耐震化計画に掲げる年1%を目標として、着実に管路更新事業を実施していく。以上の状況から、施設利用率等が示すとおり、人口減少に伴う水需要の減少により、施設規模が過大となっていることに対し、施設利用率等の目標を設定したうえで、徹底した施設規模の適正化(ダウンサイジング)が必要である。
全体総括
水需要の減少により給水収益が減少する中、健全かつ良好な経営状況である要因としては、施設更新の投資費用を企業債の借入れに依存することなく、可能な限り自己財源により賄ってきたことが大きな要因である。しかし、法定耐用年数を超えた資産が増加し、施設の老朽化、特に管路の老朽化が進む一方で、今後必要となる多額の更新事業への投資は健全な事業運営にとって厳しい影響を与えることが予想される。今後は、そのような厳しい状況に対応し、安定的な事業運営を行うため平成28年度に策定した「門真市水道事業ビジョン(経営戦略)」に掲げる施策を計画的に進めていくとともに、老朽化の進む資産についても、平成27年度に策定した耐震化計画に基づき、適正な施設規模を考慮した効率的な施設更新を行っていく。