地域において担っている役割
当院は、湖東保健医療圏唯一の公立病院、また基幹病院として、急性期医療のほか救急医療や小児医療などの不採算部門を担ってきた。平成30年3月に地域医療支援病院の承認を受けたほか、在宅診療科を中心に、在宅医療の推進にも努めている。令和2年の初頭から新型コロナウイルス感染症(以下、同感染症)が流行し、本院は感染拡大による地域の医療崩壊を防ぐために、県から同感染症対策の重点医療機関の指定を受け、その役割を果たしている。
経営の健全性・効率性について
【健全性】令和2年度は、①経常収支比率が向上し、経営成績が大きく改善されたように見えるが、同感染症の影響による受診控えから患者数が減少したことで②医業収支比率が悪化していることが見てとれる。依然として③累積欠損金比率は類似病院平均値を大きく上回っていることからも、安定した経営を継続するための取り組みが必要である。【効率性】同感染症の影響で④病床利用率が大きく落ち込んだことからも、今後、コロナ禍前の水準まで回復を図る必要がある。
老朽化の状況について
現在の建物は平成14年度に完成したもので、①有形固定資産減価償却率から考えると類似病院と比べ比較的新しいと考えられるものの、空調等の設備面で不具合が発生してきており、令和3年度に策定する長寿命化計画に基づき、更新や修繕を進めていく必要がある。医療機器については、老朽化したもの、業務効率の改善を図れるものから順に継続的な更新を行っており、②器械備品減価償却率は類似病院平均値を下回っている。
全体総括
令和2年度は、同感染症の影響で患者数が大幅に減少したことから、②医業収支比率が大きく悪化した。しかしながら、国や県からの様々な支援策を活用したことにより医業外収益が大幅に増加したことから、①経常収支比率は大きく向上した。今後、同感染症の収束の目途が立たない状況のなか、令和3年度に策定した中期経営計画に基づいた経営改善を行い、医業収支を回復させることが急務である。施設面については、令和3年度に策定する長寿命化計画に基づき、必要な改修を進め、施設の長寿命化を図っていく。