地域において担っている役割
当院は桐生医療圏で唯一の公立病院であり、圏域内の急性期医療、がん医療、周産期医療、救急医療、災害医療を担う地域中核病院である。当院の役割は、ハイリスク疾患やがん医療に対して高度で質の高い急性期医療を追求し、不採算部門である周産期医療及び災害医療を継続的に提供していく体制を確保することである。群馬県地域医療構想によると、当該医療圏は高度急性期及び回復期病床が不足すると予想されており、回復期段階の患者への医療及び高齢者への医療等圏域内における医療需要の変化に伴う患者構成を踏まえた医療の提供も検討していく。また、厚労省の示す医療計画である5疾病(がん、脳卒中、心筋梗塞等の心血管疾患、糖尿病、精神疾患)・5事業(救急医療、災害医療、へき地医療、周産期医療、小児医療)を進め、さらに新たな事業(新興感染症等拡大時の医療)のも対応できる体制の確保を目指していく。
経営の健全性・効率性について
・1年を通して新型コロナウィルスの影響を受けたものの、入院・外来収益とも前年比増加したため②医業収支比率は類似病院平均値よりも上回った。・①経常収支比率もコロナ関連補助金等により、前年比0.3%上昇し類似病院平均値よりも上回る結果となった。・③④入院・外来収益の増加及び入院・外来患者の増加により入院・外来とも患者1人1日当たり収益は増加。④病床利用率はほぼ前年同率だが、類似病院平均値となっている。⑧材料費対医業収益比率は類似病院平均値以下だが若干の増加。・職員給与費対医業収支比率においては、適正化を図っている中で、5.4%減少。今後も類似病院平均値になるように常勤及び非常勤職員数の適正化に取り組む。
老朽化の状況について
・今後も予想される様々な設備投資について、中・長期的な計画に基づいて計画的に更新を実施しているが、経年劣化による修繕等の費用の増加が予想される。・特に施設面の老朽化が進んでおり、①有形固定資産減価償却率は前年比2.8%減少したものの、類似病院より11.5%高い水準にあり今後計画的な施設更新等を検討する必要がある。また、②器械備品減価償却率は、病院情報システム更新により類似病院平均値よりも低い水準にある。・1床あたりの有形固定資産はほぼ前年同様だが、類似病院平均値より低い状態が続いている。
全体総括
今後も地域住民に必要とされる病院となるため常勤医師の確保を最優先課題とするとともに、地域包括ケア病棟及び回復期リハビリテーション病棟を効果的に活用し、在宅復帰できるよう医療連携を推進していく。また、病院経営において一層の経営努力・効率化を進め地域医療構想を踏まえた役割の明確化を行い、地域医療機関との相互連携・機能分担を強化し、病病連携、病診連携及び福祉・介護機関との連携も強化していく。