地域において担っている役割
地方独立行政法人市立秋田総合病院は、公的医療機関として、結核・精神・救急等の政策的な医療やがん診療等の高度な医療を総合的に提供している。特に、秋田県がん診療連携推進病院として難易度の高い外科的治療等の提供や、救急告示病院として一般救急および小児救急を開設している。また、精神科領域では、秋田県で唯一の基幹型認知症疾患医療センターに指定され、地域の中核的医療機関としての役割を果たしている。
経営の健全性・効率性について
令和3年度は、患者数が入院・外来ともに前年度に比べて増加したことなどにより、医業収益は増となったほか、病床利用率も増加している。医業費用は、給与費や材料費のほか、新病院に向けた設備投資による減価償却費等の増加により、前年度に比べて増となった。結果として、医業収支比率は前年度よりも改善したものの、経常収支比率は、100%を上回るには至らなかった。なお、当期未処理損失は地方独立行政法人法第40条第2項における損失の処理を行っている。
老朽化の状況について
病院建物については、竣工から37年が経ち老朽化が進行しており、有形固定資産減価償却率が増加傾向にある。病院建物の老朽化や狭隘化の解消を図るため、令和元年度に新病院の本体建設工事に着工し、令和4年10月に新病院が開院した。これにあわせ、医療機器の更新を計画的に行っている。
全体総括
新型コロナウイルス感染症の影響がある中、経常収支比率は、令和2年度から引き続き100%を下回っているものの、前年度より改善しており、安定した財務基盤の確保に努めながら、地域における中核的な公的医療機関として、総合的かつ高度な医療を提供してきているといえる。今後とも、業務運営の効率化を図りながら、収益の確保と経費の節減に努め、良質な医療を安定的に提供していく。