地域において担っている役割
地域医療支援病院として、地域完結型の医療を実現するため、地域の医療機関とその機能分担を明確にした病病・病診連携に積極的に取り組んでいる。また、阪神地域の急性期医療の中核を担う当院では、救命救急センターとして地域とも連携を図る中、全診療科で重症患者に対応できる救急診療体制をとっていることに加え、災害拠点病院としての役割も担っている。
経営の健全性・効率性について
収益については、新型コロナウイルス感染症に伴う入院病床の確保、受診控え等により新型コロナウイルスの影響を受ける前までの収益の回復はできなかったものの、昨年度からは改善した。費用については、抗がん剤の使用量が増加したことによる薬剤費の増加、給与費が増加したことや、建物及び設備の老朽化等による経費の増加により、経常収支比率が100%を下回り、類似病院平均値より6.8%低くなった。2025年の新病院への移転に向け、累積欠損金の解消など、経営改善に取り組む。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率が示すとおり、建物及び設備の老朽化が進んでいる。2025年に西宮市立中央病院と統合し新病院に移転予定であり、大規模な投資は困難な環境であるが、施設点検の強化により緊急度を精査しながら、病院運営に支障を来すことがないよう維持管理に取り組んでいる。また、医療機器の整備についても、新病院に向けて、医療機能の発揮に支障が生じないよう計画的に更新を行っていく。
全体総括
平成22年度から9年間継続して経常収支比率100%以上を確保していたが、新型コロナウイルス感染症の影響による減収や、給与費や、設備老朽化による経費の増等により、昨年度よりは改善したものの、令和元年から3年連続で100%を下回った。この状況を改善するため、地域医療機関との連携強化による急性期患者の確保や、逆紹介の推進に努めるとともに、診療報酬改定に対応した各種加算の取得など、診療機能に見合う収益の確保や、診療材料の購入価格の適正化など、費用の削減に取り組むことにより、病院経営の改善に努めていく。