地域において担っている役割
病院群輪番制病院として医療圏内の救急医療の一翼を担うとともに、医療圏の急性期医療やがん診療等の高度医療、公立病院として精神・結核・感染症・認知症疾患等の政策的医療を堅持している。とりわけ、新型コロナウイルス感染症に対しては、第2種感染症指定医療機関として、高岡医療圏での中核的役割を果たすべく患者の受入に努めている。また、地域医療支援病院として、地域の医療機関と連携・協力を図ることで、地域の医療の質向上に努めている。
経営の健全性・効率性について
経常収支比率は前年度比で7.0ポイント増加、医業収支比率は前年度比で6.6ポイント増加した。これは、新型コロナウイルス感染症患者の受け入れなどにより前年度に比べ入院患者数が増加したことや1人1日当たり収益の増加により、入院収益が増加したことによるものである。また、経常収支比率が令和2年度に引き続き高い値となっているのは、新型コロナウイルス感染症関係の補助金収入を計上したことによるものである。累積欠損金比率については、平成29年度から収支黒字が継続しており欠損金が減少していることに加え、前年度に比べ医業収益が増加したことから、大きく減少した。病床利用率については、新型コロナウイルス感染症患者の受け入れなどにより前年度比2.8ポイントの増となった。入院患者1人1日当たり収益については、新たな加算の取得や手術件数の増加などにより前年度比で増加した。外来1人1日当たり収益については、外来化学療法件数の減少などにより前年度比で減少となった。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率、機械備品減価償却率ともに、前年度に導入した新型コロナウイルス感染症対応のための機械備品や施設改良の減価償却が始まったことなどにより前年度比で増となった。また、類似病院平均値を上回っているが、平成12年度に建設した病院全体分や建設と同時に導入した医療機器等の老朽化が進んでいることを示している。今後、これらに対する修繕や更新の増加が見込まれるが、優先順位をつけ、計画的に投資を行っていく。
全体総括
収支状況については、新型コロナウイルス感染症患者の受け入れなどにより医業収益は前年度に比べ改善したものの、新型コロナウイルス感染症流行前の水準には至っていない。その一方で、経費については流行前と同程度の水準にあり、新型コロナウイルス感染症対応に係る補助金がなければ純利益を計上できていない状況にある。収益面では、紹介・逆紹介を通じた新規入院患者の獲得等とともに、患者1人1日当たりの収益を増加させ、医業収益の増加を目指していく。また、費用面では、今後も継続して費用削減について検討していく。一方で、有形固定資産等の減価償却率は全国平均、類似団体比較でもはるかに高くなっており、今後は老朽化による修繕費の増加も懸念される。計画的な修繕の実行により費用を抑制しつつも、機器等の継続的・計画的な更新も実施し、当院の医療の質の維持・向上を図っていく。