地域において担っている役割
松江医療圏の中核的かつ高度急性期病院として高度な医療体制を確保し、地域医療機関との連携によって療養生活の質の向上を図る。特に、高度型がん診療連携拠点病院として、高度医療機器や専門スタッフによる放射線治療や緩和ケアなど、地域のがん医療への幅広い貢献が望まれる。また、最新の医療情報や研修の場を提供しながら医療人材の育成を図るなど、圏域における公立病院として地域医療の中核を担う。
経営の健全性・効率性について
平成26年度以降は①経常収支比率が100%以上となり、経常黒字となっている。②医業収支比率から、令和2年度は新型コロナウイルス感染症の影響によって医業収益が減少していたが、令和3年度は回復基調にある。⑧材料費対医業収益比率は平均値を下回っており、一定の効率性を確保しているが、⑦職員給与費対医業収益比率は平均値を上回るなど、経営の効率性についてさらなる改善が求められる状況にある。また、④病床利用率は平均値を下回り、⑤・⑥の1人1日当たりの収益も平均以下であることから、②医業収支比率も平均水準よりも低くなっている。今後、継続して病院経営を安定させていくためにも、収入確保や経費の見直しなど、健全化の取組みを一層推進していく必要がある。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は平均値をやや上回っているが、がんセンター建設に伴って平成28年度以降の③1床当たりの有形固定資産は平均値を大きく上回ることになり、大規模な建設投資を行った影響が出ている。また、②器械備品減価償却率の高さからも示されるとおり、機器の老朽化が進んでいる。今後は建物施設や医療機器等の老朽化の状況を的確に把握しながら更新の優先順位を見定めるとともに、減価償却費や元利償還金など、収益的収支及び資本的収支のバランス・推移を見極めながら、適切な規模で計画的に更新を行っていく必要がある。
全体総括
経常収支は黒字基調で、一定の安定経営を実現しているが、医業収支比率は平均値を下回るなど、今後の安定経営には更なる経営の効率化が必要となる。新型コロナウイルス感染症の影響が続く中ではあるが、より一層地域連携を推進することで、機能分化、連携強化を図り、持続可能な地域医療提供体制を確保し、紹介率の向上と新規患者の獲得、患者1人当たりの診療単価の増など、収入確保の取組みを一層推進していく。また、引き続き材料費等の経費の効率化を進めるとともに、高度医療機器や建物等の施設更新を計画的に行うなど、健全な収支を維持しながら、安定した経営基盤を確立していく。