地域において担っている役割
がんに対する高度で先進的な集学的治療を提供するともに、都道府県がん診療拠点病院として、地域がん診療連携拠点病院間の連携強化、拠点病院医師等への研修、診療支援等を行うなど、がん医療の全県の拠点的な機能を担っている。令和元年9月に「がんゲノム医療拠点病院」の指定を受け、遺伝子パネル検査や遺伝カウンセリングなど、がんゲノム医療体制の充実を図っている。また、難治性がんや再発がん等他の医療機関で対応困難ながんに対する高度専門医療の提供に必要な診療機能やがん治療に関する臨床研究機能の向上に努めている。
経営の健全性・効率性について
1収益新型コロナウイルス感染症でクラスターが発生したことなどにより、入院、手術制限を余儀なくされたものの、外来移行が進んだため、経常収支比率(97.3%)、医業収支比率(93.5%)は前年度と同程度となっている。新規患者の確保が課題となっている。2費用高額抗がん剤の使用量増に伴い材料費が増加したことに加え、院内処方であることもあり、材料費対医業収益比率(47.0%)は平均値を大きく上回っている。薬品及び診療材料の定数管理の適正化、使用期限切れ等ロスの縮減、共同購入品への切替え、継続的な価格交渉の実施等により費用抑制に努める。
老朽化の状況について
昭和59年5月開設から37年余りが経過し、平均値を上回る有形固定資産減価償却率(70.2%)が示すとおり、施設・設備の老朽化が進んでいることから、診療機能に重大な支障を来すことのないよう緊急度を精査しながら計画的な修繕・改修に取り組んでいる。また、医療機器の増設、新型コロナウイルス感染防止対策の実施(トリアージ室や食事スペースの確保等)に伴う院内スペースの狭隘化が課題となっている。現在、新病院の建替整備に向けた検討を進めている。
全体総括
患者1人1日当たり収益は、入院・外来ともに平均値を上回っているが、近年はがん治療の均てん化等に伴い入院患者数が減少傾向にあることから、ゲノム医療をはじめとする診療機能の充実や地域医療機関との連携強化、がん検診実施医療機関への働きかけなどにより、新規患者の確保を図っていく必要がある。また、薬品及び診療材料の適正管理、共同購入品への切替え、価格交渉による材料費の節減、施設・設備機器等の計画的な修繕による経費の効率的な執行により費用の抑制に努める。今後とも、収益の確保、費用の抑制、患者サービスや医療の質の向上に努め、持続可能な病院経営の推進に取り組む。